ドイツ連邦憲法裁判所は17日、同性同士の結婚を男女の結婚と同等に認める連邦法「登録ライフパートナー法」は合憲との判断を下した(裁判官の賛否は5対3)。野党で保守のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が政権を握るバイエルンほか2州が、同法は結婚と家庭を守る憲法条項を侵害し「家庭の崩壊につながる」、などとして異議を申し立てていた。「伝統的な家族」を護る姿勢を強く示したのは、9月の総選挙をにらんだもの、との声もあった。
法律制定に携わった緑の党のベック議員は「非常に安心した」「ドイツの同性愛者にとって、この上ない1日」とコメントしている。ゲイであることをカミングアウトしているベルリン市長のクラウス・ヴォーヴェライト氏(社会民主党/昨年10月当選)も、「やっと異常とされていたものがそうでなくなる決定的なステップだ」と語った。メディァも、ウェディングケーキに入刀するゲイ・カップルの写真を掲載するなど、ゲイやレズビアンたちの喜びを伝えた。CSU党首で9月の総選挙に首相候補として出馬する予定のシュトイバー・バイエルン州首相(30年間同じ女性を伴侶とし、孫もいる)は、連邦憲法裁判所の決定は残念としながらも、総選挙でシュレーダー現首相に勝っても同法を覆すようなことはしないと述べた。だが、同性愛者が異性愛者と完全に同等の権利を獲得することには反対していく、とも宣言している。
ドイツには、ナチスが1935年以降、法律的にゲイを弾圧し(法令は1969年まで残っていた)、刑務所・収容所に集められたゲイ数千人が殺された歴史が有る。断種させられたものや、人体実験を受けたものもいた。今日では、同性愛者はドイツで広く受け入れられるようになり、カミングアウトしている政治家も増え(投票の際、個人の性的な部分は関係ないとする国民が大半だという調査もある)、パレードも多くの都市で行われている。
同法は、男女のカップルと同様、同性カップルも婚姻届けを出すことを認め、同姓を名乗る権利や財産相続権を認めるもので、2001年8月に施行、同年11月に議会の承認を得た。ただ、公的には、その関係を、「結婚」ではなく「登録された人生のパートナーシップ」と呼ぶ。また、同性カップルには税制上の特権や、養子を迎えることは認められていない。これまで同法の下、同性カップル約4500組が結婚式を挙げた。1年間に結婚する男女のカップルの1%に相当する。
同性カップルに婚姻の権利を認めたのは1989年のデンマークが最初。その後スウェーデン、アイスランド、ノルウェー、ポルトガル、フランス、オランダなどでもほぼ同様の法律が施行され、ドイツが続いている。[産経新聞などから/一部は伊藤が翻訳]
▼元記事(英語)
http://reuters.com/news_article.jhtml?type=worldnews&StoryID=1212276
(独語)
http://www.reuters.de/news_article.jhtml?type=germanynews&StoryID=1211041
※この情報は、馬場英行さん・YYさん・Yさんからいただきました。ありがとうございした。
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