調査統計から見る同性カップルの現状

by ウエハラ ショウタ

 
 

 ゲイ・レズビアンのカップルは、異性愛のカップルと、鏡のようにお互いよく似たものであるが、法的な恩恵と保護は全く受けていない、と新しい研究が示している。
 アメリカ最大のLGBTの人権グループである「人権キャンペーン」がアーバン・インスティテュート(無所属で経済社会政策を調査する組織)に依頼して、行われたこの研究は、約2000人分の国勢調査のデータを利用している。
 研究データは、15州から集められており、カリフォルニア・ニューヨーク・テキサスなど、同性同士が数多く家庭を作っている州からのものを含んでいる。また、ゲイ・レズビアンのパートナーシップを保障する「シビル・ユニオン法」を3年前にアメリカで最初に作ったバーモント州も入っている。

 研究によれば、ゲイ・レズビアンのカップルは、結婚している異性のカップルより少し教育があり(学士号を持っている率は、35%対28%)、収入は25%多い。
 ゲイ・レズビアンのカップルの年収は、約32000ドルで、異性の結婚していないカップルより8000ドル多い。だが、自宅を所有しているカップルは、64%で、結婚したカップルの78%より低い。

 分析を担当したアーバン・インスティテュートの人口統計学者ゲイリー・ゲイツは次のように言っている。収入や自宅所有率の違いは、同性カップルが、都会に集まりがちで、都会では一般的に収入や住宅の価格が高く、借家の形式も多様だからではないか、また、相続や財産共有に対する税金を多く払わなければいけないという事実も反映しているからではないか。
 家を所有しているゲイカップルの不動産を金額に換算すると、162000ドルを超えており、レズビアン及び結婚しているカップルより25000ドル、結婚していない異性のカップルより50000ドル高い。
 レズビアンのカップルに関しては、ゲイカップルより子どもを持つ場合が多く、郊外の住宅が安いところにより集まっているからだと、ゲイツは指摘する。

 人権キャンペーンのデビッド・スミスは、「研究は、ゲイとレズビアンのカップルが、この国の大多数の家族と鏡のように同じイメージであることを示している。異性愛のカップルと同じ恩恵と保護を受けるべきである」と述べている。
 さらに、スミス氏は、「アメリカには同性愛者のカップルには適用されない1000以上もの権利・責任・義務などがあり、自宅所有は、ゲイ・レズビアンカップルが、他のアメリカ人より少ない権利のために、いかに高額の税金を払わなければならないか、のよい例だ」と付け加える。

 なお、2年前に公表されたデータによると、合衆国には59万4千の同性のカップルがいるという。これは、アメリカのカップルのたったの1%である。

 「人権キャンペーン」は、この結果をもとに、同性カップルの法的認知に向けての論議を盛り上げたいとしている。

翻訳&記事の解説:ウエハラ ショウタ
(ウエハラ ショウタ:東京在住/翻訳スタッフ)

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Gay Families 'A Mirror'
http://365gay.com/NewsContent/051403censusFamilies.htm
Census data measures same-sex couples
http://channels.gay.com/news/article.html?2003/05/14/1

 

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