カナダで同性結婚合法化へ

by HIME

 
 

 カナダ最大の都市であるトロント市は6月10日、同性カップルに結婚許可証を交付することに決定した。これはオンタリオ州控訴裁が、結婚を異性間に限定した連邦法は、カナダ憲法の権利と自由の憲章に違反するとした判決を受けたもの。

 同控訴裁の判決は、同性間の結婚を支持する判決を出したカナダのブリティッシュコロンビア州とケベック州に続く形になる。

 今回の判決では、同性結婚に対する規制はゲイ・レズビアンの尊厳を侮辱するばかりか、彼らが結婚を選択する自主性を拒否するものであり、いわば彼らが結婚に価しないと言っているのも同然、と述べられている。そして、正式な婚姻届の申請をしていた7組の同性カップルについて、市当局と州政府当局に直ちに婚姻届を受理し、「結婚許可証」を発行するように命令した。

 この判決を受けて即日、カナダで初めて合法的に結婚する同性カップルとして、原告団のマイケル・レシナーさん(55才)とマイケル・スターク(45才)さんが結婚式を挙げた。レシナーさんは弁護士で、同性間の結婚を推し進める運動を長年行なっている。22年来のパートナーであるスタークさんとの挙式後、シャンペンで乾杯したレシナーさんは、「まるで夢のようだ」と感激をあらわにしている。

 世論調査によると、カナダでは同性結婚に対する賛成意見が反対意見をやや上回っている。

 

翻訳&記事の解説:HIME
(HIME:米国カリフォルニア州在住/翻訳スタッフ)

     

     

カナダが同性結婚の合法化に向け法改正へ

by ラッセル秀子

 
 

 カナダのクレティエン首相は6月17日、ベルギーやオランダに続き、カナダも同性結婚を合法化する方針を発表した。

 「われわれの社会は新しい進化をとげている」と同首相は閣僚会議後の発表で述べている。同性結婚の合法化に向けた法改正案は数週間で起草され、最高裁に提出後、国会にかけられる予定。同首相の自由党は、国会で過半数を占めているが、法改正に関する党内の意見は分かれている。

 カナダでは、先週オンタリオ州控訴裁が、結婚の定義が男女に限定されているのは違憲だとした判決や、ブリティッシュコロンビア州、ケベック州が出した同様の判決を受けて、政府は法改正か上告のどちらを選択するか迫られていた。今回の発表は、政府が上告を断念したことを意味する。

 なお、先週のオンタリオ州控訴裁の判決後、すでに10数組の同性カップルが結婚許可証の発行を受けている。

 現行法の改正後、各宗教内で同性結婚が是認されるかどうかは、各教会に決定する権利が与えられる。バンクーバーのアンジェリカン教区では、合法的な同性結婚を認めていないが、同性間のパートナーシップを祝福する方針を打ち出しており、これまでに一件、祝福の式をとり行なっている。しかしこういった動きに反対する教会もあり、同教区内には分裂が起きている。

 一方アメリカでは、同性結婚が合法の州は皆無。バーモント州では、同性のカップルにも一般の婚姻と同様の便益と保護が与えられなければならないとされているが、合法だとは認められていない。

 

翻訳&記事の解説:HIME
(ラッセル 秀子:米国カリフォルニア州在住/翻訳スタッフ)

《補足》政府の判断の基本的な考え方は「同性愛者の性的指向のために同性婚が承認されないのは、カナダの憲法『権利と自由の憲章』を侵すものである」であり、「婚姻は『男と女(one man & one woman)の間』に成立する」としていた法律を『2人(two persons)の間』に変える方針とのこと。養子の受け入れについては、以前から異性婚と変わることなく承認されている。同性婚を法的に認めるのは、オランダ(2001年4月)、ベルギー(2003年1月)についで3カ国目になる。(こちらの補足は、カナダ・トロント市在住のフリーランス・ジャーナリスト、サンダース宮松敬子さんからいただいたものです)

※参考:
http://www.cnn.com/2003/WORLD/americas/06/11/canada.marriage.ap/
http://news.yahoo.com/fc?tmpl=fc&cid=34&in=world&cat=gay_and_lesbian_news

http://www.samesexmarriage.ca/


※カナダの同性婚のニュースについては、サンダース宮松敬子さん、NHさん、Cさん、THさんからも情報をいただきました。ありがとうございました。

     

     

カナダで同性結婚の合法化・・・続報

by サンダース宮松敬子

 
 

 サンダース宮松敬子さんからいただいた、カナダの同性婚についての続報です。

 結婚した同性婚の数は、6月10日の火曜日から13日の金曜日までの4日間で、89組に上った。

 カナダでは同性婚に限らず、異性婚でも、結婚する人が「カナダ人か、ここに住んでいる人のみ」という条件がない(オランダ、ベルギーではこれが規則になっている)。そのため、今、アメリカから続々とゲイ・カップルが来て、トロントなどで結婚している(それが本国に帰ってから承認されるかどうかは別問題だが)。

 当然、日本人のL&Gのカップルもここに来て結婚することができる。日本は同性婚を承認していないので、日本に帰ってから届を出すときに役所で拒否されるだろうが、カナダで認められた結婚であることを強く押し出し、訴訟を起こすことができるかもしれない。世論を揺り動かす起爆剤になりはしないだろうか。

※03/08/08 内容の一部を訂正しました

 

記事解説:サンダース宮松敬子
(サンダース宮松敬子:カナダ・トロント市在住/フリーランス・ジャーナリスト)

 

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