カナダで同性婚合法化へ〜その後

by ワタル

 
 

(1)ブリティッシュ・コロンビア州がカナダの州として2番目にゲイの婚姻を法律化

 ブリティッシュ・コロンビア州は、7月8日に同性カップルの結婚を認める2番目のカナダの州となった。今年はじめ同州控訴裁は、男女間の結婚だけを婚姻の定義とした連邦法を、ゲイやレズビアンのカップルへの差別になるから違憲であると判決を下したが、連邦政府に2004年7月までに法律を改正する猶予を与えていた。オンタリオ州控訴裁が同様の判決を猶予なしで発令したのを受けて、ブリティッシュ・コロンビア州の同性カップルが、すぐに判決の効力を発揮させるよう訴えていたのを受け入れたのだ。
 これは、カナダ連邦政府が、猶予期間の取り止めに反対はしないとする声明文を出し、この動きに反対するものがなくなった結果でもある。カナダは、今秋、同性婚を国中で法制化するが、この法案への反対を阻止するため、カナダ最高裁に憲法の精査のための草案を提出する予定だ。最高裁の承認があれば、議会で立法を阻止したり同性婚に反対することはほぼ不可能となる。
 これを受けて、宗教保守派のグループがオンタリオ州の判決に控訴するため、最高裁に嘆願する計画があることを発表したが、最高裁が必要な法的地位を持たない第三者に介在を許可することはないだろうと見られている。

(2)トロントではゲイの結婚ラッシュへ準備中
 トロントのゲイ・プライド祭の前夜、市では法的な結婚を求める同性カップルが押し寄せるであろうことを予想して、市役所の婚姻認可局の手続き時間を延長すると発表した。オンタリオ州控訴裁の判決が下ってから6月27日までに、およそ175の許可証を同性カップルに発行したとのこと。その中にはカナダでの婚姻が自国で有効かどうか不明瞭であるにもかかわらず、国境を越えて結婚をしに来たアメリカ人カップルも多い。
 当日、二組のアメリカ人と数十人のカナダ人カップルが夢物語でしかなかった結婚式を挙げ、百万人近い街の人たちから祝福を受けた。オハイオ在住のヘンリー・パディアンさんとジェイソン・ロールズさんは、その週末トロントで結婚し、日曜に毎年恒例のプライド・パレードを他の同性カップルと一緒に行進した。ミズーリ州カンザス・シティーから来たスティーブさんとブレントさんのカップルは、トロント市役所で日曜に結婚し、白いリムジンに乗ってパレードに参加した。「これは素晴らしいことだ!」とパートナーと一週間前に結婚したここの市議会議員カイル・ローさんは、新婚カップルが群衆から声援を受けてパレードを歩く中、興奮しながら語ってくれた。
 アメリカはカナダの婚姻許可を認知はしているが、30以上の州では婚姻を男女間だけのものと定義する婚姻防衛条例がある。連邦議会も1996年のクリントン政権下で同様の条例を制定している。アメリカのゲイグループはカナダでの結婚の法的意味合いや信頼性はあいまいなため、アメリカ人カップルはカナダで結婚する前によく考えるべきであると警告している。

(3)それでもカナダで結婚したい人のために・・・
婚姻認可はオンタリオ州の市町村の役所で得られる。
オンタリオ州では認可を受けるのに州の住民である必要はない。
待機期間はない。血液検査などが必要。
両人の届出が必須だが、応募用紙を取りに来るのは一人でもかまわない。署名をして身分証明と手数料とともに認可局に送る。
手数料は市町村によって違い、トロントでは110カナダドル、アメリカドルでおよそ85ドル。
アメリカ、バーモント州のシビル・ユニオンは合法的な結婚ではないので、それを持っていても用紙の婚姻の有無の欄はNoとすること。Yesにすると重婚で申請は却下される。つまりこれによって異性愛の結婚をしている場合はそれを解消してからでないと次の結婚は認められない。
結婚の必要条件は、18歳以上で、運転免許証などの写真つき身分証明と、出生証明書やパスポートなどの身分証明を持つこと。
婚姻認可は結婚ではなく結婚の許可証である。認可は90日間有効でこの期間に結婚しなければ期限切れでまた手続きを行わなければならない。
オンタリオ州の多くの役所には結婚のためのチャペルがあるため、許可を取ってすぐ結婚することも可能。チャペルは治安判事もそろっている。結婚式場や夕焼けのビーチなど他の場所でセレモニーを挙げたいカップルは認可局が式を行ってくれる人を紹介してくれる。いくつかの教会でもウェデングを行ってくれる。費用はそれぞれ異なるが、トロント市役所の治安判事を完備したウェディングチャペルは155カナダドルでおよそ115アメリカドル。
セレモニーの後に必要書類に署名をして、式を執り行ってくれた人を介して登録する州政府に提出する。90日後に登記書のコピーを州に申し込むことができる。コピーを郵送してもらう場合は22ドルの手数料がかかる。
この婚姻は現在オンタリオ州だけで認知されているが、立法化されればカナダ国内で認められる。同時に同性婚が合法化されているオランダとベルギーでも認知されることになる。アメリカでは現在ゲイの婚姻を認めている州はない。
オンタリオ州の全ての役所で許可が得られるが、小さい町ではセレモニーを行ってくれる人がいない可能性がある。カナダ東部から来る人はケベック州境のコーンウォールやオタワ、ニューヨークやニューイングランドからは国境を越えてキングストンで、ニューヨーク州西部やオハイオ、ペンシルベニア、南部からはナイアガラ・フォールズやバッファローから入ってオンタリオ州ナイアガラ・フォールズやフォート・エリーで、デトロイトや西部からはウィンザーで取るのがおすすめ。しかしこれらの市でも実際の結婚を執り行ってくれる人を探すのは難しい。トロントはカナダ最大の都市でピアソン国際空港はすべてのアメリカ主要都市と結ばれている。セレモニーを行ってくれる人も見つけやすく、市役所でやることもできる。
離婚は結婚するより大変。まず、州住民である必要がある。離婚するために一年以上オンタリオ州に住んでいなければならない。2回目の結婚は合法の身分なので婚姻を解消する前に弁護士によく相談するべき。

関連情報
Toronto prepares for gay marriage rush
http://channels.gay.com/news/article.html?2003/06/24/1
Canadian Court To Review Marriage Decision
http://365gay.com/NewsContent/062803bcMarriageAppeal.htm
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http://www.gaywired.com/article.cfm?section=9&id=796
What You Need To Get Married In Canada
http://www.gaywired.com/article.cfm?section=9&id=781
Canada Gay Marriage Bill Ready
http://365gay.com/NewsContent/070503bcMarriage.htm
British Columbia Becomes Second Canadian Province To Legalize Gay Marriage
http://www.gaywired.com/article.cfm?section=9&id=814
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http://channels.gay.com/news/article.html?2003/07/08/1


翻訳&記事の解説:ワタル
(ワタル:埼玉県在住/翻訳スタッフ)

 

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