州知事のグレイ・デービス氏は、9月8日に、性的指向・性同一性(gender
identity/性自認)・HIV/AIDSを含むさまざまな要因に基づく差別から養子を保護する、カリフォルニア州の法案に署名をした。州議会議員ジュディ・チュウ氏により創案されたこの法案は、全国ソーシャルワーカー協会カリフォルニア支部や「公正を求めるカリフォルニア」(Equity
California)などにより支持されていた。
「この法案は、レズビアン/ゲイ/バイセクシャル/トランスジェンダーを含む、危険にさらされている若者が、カリフォルニアのフォスターケア(養子や里親による子どもの養育)・システムの中で保護されることを保証するでしょう」と、「公正を求めるカリフォルニア」の執行委員、ジェフリー・コーズさんは説明する。「これは、複雑な議論になるような問題ではない。私たちは、もっとも弱い立場の養子をいやがらせや差別から守る義務があるのです」
また、カリフォルニア州のドメスティック・パートナーたちに、結婚しているカップルとほぼ同等の法的権利を与える法案が、9月10日に、カリフォルニア州下院で41対32で可決され、法制化まであと一歩のところとなった。
「ドメスティック・パートナーの権利と義務条例2003(AB 205)」と呼ばれる、州議会女性議員ジャッキー・ゴールドバーグ氏により創案された法案は、残すところ、カリフォルニア州知事のグレイ・デービス氏の認可の署名を受けるのみとなった。
知事が公言しているとおりに、署名を受けてこの法案が法制化されれば、カリフォルニア州はバーモント州に続き、アメリカ国内で2番目に合法的な同性のユニオンを認める州となる。
デービス氏は、「人々が愛情のある献身的な関係でいることが、社会に大きな利益をもたらすと信じている」と語った。また知事は、法案はただ権利を拡張するだけでなく、子どもの養育費などの義務の拡張でもあることを付け加えた。
ゴールドバーグ議員とともにこの法案通過のために活動してきた、市民活動家のグループは、この勝利を手放しで喜んでいる。
「私たちは、同性カップルやその家族のために重要なこの人権法案が、歴史的な可決を迎えたことを大変喜んでいます。そして、すばらしいリーダーシップを発揮してくれたゴールドバーグ議員と、この法案に投票して市民権のために立ち上がってくれた議員の方々に感謝したい」と、「公正を求めるカリフォルニア」のジェフリー・コーズさんは語った。
「この法案は、ほとんどのアメリカ人がすでに当たり前のように受けている基本的な保障を、カリフォルニア州の同性カップルやその家族に与えることができるでしょう。これは、とてつもなく大きな一歩です」と、「人権キャンペーン」(Human
Rights Campaign/同性愛者の権利擁護を目指す団体)国内責任者のセス・キルボーンさんは言う。
このカリフォルニア州のドメスティック・パートナーに与えられる新しい権利と義務は、次のようなものが含まれる。子どもの保護監督権、子どもと配偶者の扶養義務、葬儀を準備手配し、共有財産を設定し、お互いに扶養する権利、家庭裁判所を利用する権利、親に準じた立場をとれること、州裁判所の証言特権、カップルになった学生が特別な住居を利用する権利、負債の共同負担……。
しかし法案の最終版は、州の婚姻カップルが現在受けられるすべての同等の権利を与えていない。カリフォルニア州でドメスティック・パートナーとして登録しているおよそ2万人のカップルは、共同で州の所得税申告をすることができない。
これら両方の法令が民主党知事の机に届いたのは、知事が言うところの「右翼たちによって仕掛けられたリコール選挙」を彼が闘っている時であった。最新の世論調査では、デービス氏は知事職を失う可能性が濃厚であるが、調査はまた、俳優のアーノルド・シュワルツェネッガー氏を含む共和党候補者が、民主党の副知事クルス・バスタマンテ氏に遅れをとっていることも伝えている(カリフォルニア州では、デービス知事のリコールの可否の投票と、リコールされた場合の新しい知事選挙が同時に行なわれる。リコールが成立しないと、新知事選挙の結果は無効となる)。
翻訳&記事の解説:ワタル
(ワタル:埼玉県在住/翻訳スタッフ)
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