ブッシュ米大統領は20日午後9時過ぎから、上下両院合同会議で今年の施政方針を示す一般教書演説を行った。大統領は、今後もテロ組織や大量破壊兵器の脅威に対して攻撃的な対処を続ける姿勢を明確にし、中東全域に民主主義を広げる方針も確認した。経済や国民の生活に密着した内政課題に対しても、宗教色と保守色を明確に出して細かく触れ、11月の次期大統領選に向けた再選戦略に演説を活用した。
大統領は、教書の中で、不変の価値として「勇気、思いやり、畏敬(いけい)、誠実、異なる信仰や宗教の尊重」を上げ、それが「家族や学校、信者グループといった根本的な社会組織を通して我々に植え込まれている」と語った。
さらに、この流れの中で、マサチューセッツ州の最高裁が昨年11月に同性婚禁止は違法との判断を下したことに反発、「活動家の裁判官」が一般国民の意思に耳を傾けず「結婚の定義を変えようとしている」として、「我々の国家は結婚の神聖さを守らなければならない」と強調した。続けて、連邦法が結婚は男女間のものだと規定していることを根拠に、「一部の裁判官が恣意(しい)的な解釈を押し付けるのであれば、最後に残された選択肢は憲法(修正)のプロセスになるだろう」と、同性婚阻止のために連邦憲法を修正する可能性までにおわせた。
この他にも、社会福祉活動に取り組む宗教団体への連邦予算支給の法制化なども提案するなど、宗教右派など保守系団体の支持を取り込む意図がはっきりと表現された。11月の大統領選における集票を狙っていることは明らかだ。だが、宗教右派などは、憲法の修正まで明言することを期待しており、さらに、大統領への要求を強めていく模様。
こうした状況に対して、米国内の LG 団体はこぞって危機感を強めている。
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