サンフランシスコ、フォーティーナイナーズ(49ers)の前のトレイナーが、同チームの陰鬱な側面を暴露した。そこではホモフォビアや虐待が黙認されていただけでなく、当たり前のこととされていたそうだ。
リンジー・マクリーンさんがゲイだということは、フォーティーナイナーズの組織内ではほぼ公然の秘密だった。彼は公的に自分のセクシュアリティについて語ったことはなかったが、ほとんどの選手や経営者側は、彼がゲイだと感づいていた。
この組織と24年間を共にし、トレイナーとして高い尊敬を受けていたマクリーンさんは、昨年退職したときも沈黙を守った。そして今年2月になって、カミングアウトを果たし、同チームやその首脳部、そしてNFL(全米プロフットボールリーグ)におけるホモフォビア(同性愛嫌悪)について語った。[参考→日本のNFL公式サイトはこちら]
ESPN マガジンとのインタビューで、65歳になるマクリーンさんは、折に触れて複数の選手から言葉によるハラスメントの標的にされたり、ある選手からは脅迫されたとも語っている。
選手の名前は明かされていないが、その選手は頻繁に、マクリーンさんを後ろからはがいじめにしてロッカーに押し付け、レイプの真似事をしていたとされている。
その選手が他チームに移籍した後も、フォーティーナイナーズとのある試合後には、再びハラスメントに及び、それはフォーティーナイナーズの記者、スポンサー、コーチやその家族がいる前で行われた。
「彼の気分が晴れればやめるだろうと思っていました。でも違いました。彼は大きいので、私はなすすべがありませんでした。誰も止めに入らなかったのには失望しました。自分のことはそれほど心配していませんでしたが、私のスタッフのことは非常に気がかりでした。彼らは明らかに気まずそうで、困惑していましたから」
同記事では、マクリーンさんが受けたその他の言葉による虐待や脅迫の例を詳しく書いてある。また2002年のシーズン中に、同チームのランニングバックのギャリソン・ハーストが有名な同性愛嫌悪発言をした際に、マクリーンさんが起こした行動についても言及している。
マクリーンさんはオーナーであるジョン・ヨーク氏に、もし今回のハーストの論争をチームが切り抜けるのに少しでも助けになるのであれば、自分はゲイであることを公表してもいいと伝えた。‘99〜‘00シーズンにハーストを欠場に追い込んだ足首の損傷からの復帰には、マクリーンさんの力が大きい。
ヨーク氏はマクリーンさんに協力的だったが、カミングアウトすることは職務の範囲を超えた行動になると言った。
マクリーンさんへのインタビュー記事に関して、ハーストはESPNに対して「彼の個人的な習慣はかれ個人のもので、自分の関知するところではない」と語った。
1979年にマクリーンさんを雇ったビル・ウォルシュ氏は、虐待については何も知らなかったと語っている。「もし私のところに言いに来たとしても、良くないことが噴出するだけだ、とわかっていたのでしょう。だから私に何も言わなかったのだと思います」
翻訳&記事の解説:ワタル
(ワタル:埼玉県在住/翻訳スタッフ)
【旧サイト】すこたんソーシャルサービス
HOME
|