サンフランシスコ市同性婚許可〜その後・5
知事と司法長官の動き
ニューメキシコ州でも一時結婚許可書を発行

 
 

[日曜日のシュワルツネッガー知事の発言の補足]
 シュワルツネッガー知事は、日曜日に以下のようなことも述べた。「私たちは、突然起こる暴動や抗議や衝突の不安に見舞われている。さらに負傷者や死者も出るかもしれない。そこまで行きたくない」。これはもちろん誇張であり、サンフランシスコは平穏そのもので、本の少し小競り合いがあった程度で逮捕者も全く出ていない。州司法長官のスポークスマンも、この件に関しては、「暴動や公的な安全が脅かされる事態は現実的に起こっていないし、起こりえない」と述べている。「知事が何を指して『暴動』などと言っているのかわからない。政治的な『修辞』を割り引かないと。複雑な問題だが、今、きちんと裁判所が扱っていることなのだし」。

[カリフォルニア司法長官の動き/サンフランシスコとロサンゼルスの動向]
 大統領や知事や右翼系団体からのプレッシャーにもかかわらず、サンフランシスコ市の、同性カップルに対する結婚許可書発行は月曜日も続いており、2月12日以来、3000組を超えた。ただ、月曜から、事前の予約が必要になったため、初期の熱狂は落ち着き、月曜に許可書の発行を受けたカップルは50組にとどまった。

 カリフォルニア州司法長官(知事とは独立して選ばれる)ビル・ロキヤーは、シュワルツネッガー知事の命令には従わないと反発したものの、独自に今回の許可書発行への対処を模索している。ロキヤー氏は、日曜日には、裁判所を通じてすぐにでも何らかの指示が出ることを示唆していたが、現在はそうした日程について「まもなく」というだけで表現をぼかしている。しかし、月曜日午後のインタビューには、「(最終的に)裁判所が、この間発行された許可書を無効にし、市当局がさらに許可書を発行するのをやめさせることになるだろう」とも述べた。

 この発言に対して多くのLGが反発している。例えば、ラムダ・リーガルの上級顧問弁護士のジョン・デーヴィッドソン氏は、司法長官こそ州の憲法を最も固く守らねばならない存在だとして、「同性カップルに平等に結婚する権利を与えることを否定するのは、憲法違反であり、サンフランシスコ市は人々の憲法で保障されている権利を護ろうとしているだけだ。それは、司法長官の義務であるはずなのに、それを果たそうとしないことに失望している」と語った。

 一方、ロサンゼルスでは、有名な弁護士グロリア・アルレッドが、2組の同性カップル(レズビアンとゲイ)のためにカリフォルニア州を告訴している、と発表した。先週、その2組のカップルはともに、ロサンゼルス郡の役所に結婚許可書の発行を求めて拒否されている。グロリア氏は、「結婚は男性と女性の間の市民契約である」とするカリフォルニアの州法308.5に異議を唱え、安全と幸福とプライバシーを保障している州憲法(1節1条と7節1条など)に違反する、とし、サンフランシスコとともに、同性カップルに対する結婚許可書の発行が憲法の下で承認されることを求めていく、と述べた。

[ニューメキシコ州でも一時同性カップルに結婚許可書を発行]
 ニューメキシコ州サンドバル郡では、先週金曜日(2月20日)、68組の同性カップルが結婚許可書の発行を受けた。

 郡の事務官ビクトリア・ダンラップは、州の司法長官パトリシア・マドリード(民主党)の指示で役所のドアが強制的に郡保安官たちによって閉められるまでの数時間、同性カップルに結婚許可書の発行をし続け、そのほとんどを正式登録した。なお、閉められた時、約30組のカップルが取り残された。現在、許可書は発行されていない。

 ダンラップは、同性カップルへの結婚許可書発行に関して、まず郡弁護士に確認し、さらに司法長官に判断を求めた。回答が「ニューメキシコ州の現在の方針では、結婚は男性と女性との間に制限されている」になりそうなことが分かった時、ラムダ・リーガル南西部オフィスのブライアン・チェイスが、ダンラップに、司法長官には発行され処理された許可書を無効にする力がないと示唆、地域のLGにも情報を流して、それで金曜日の電撃的発行に至った。

 なお、同性婚は、ニューメキシコ州議会でも議論されている。昨年、広範囲にわたる反差別法が成立したが、実質的に施行されていなかったからである。その再制定が審議されている中で、州上院は「同性婚禁止」を1回の投票で葬り去った。それが許可書の一時的発行の前日で、ラムダ・リーガルのブライアン・チェイスの示唆につながったのである。

 ニューメキシコ州のビル・リチャードソン知事(民主党)は、「同性愛者の権利を保障することは支持するが、同性同士の結婚には反対する。州の最高裁が結論を出してくれるだろう」と述べた。

 月曜日(23日)になって、事務官ビクトリア・ダンラップは、郡の委員会に召喚され、郡の人々の感情を害したと非難された。委員長は、法廷での対応を求めて決然としていたビクトリアに代わって、市民に「事務官が多くの人を傷つけた」と謝罪した。そこに詰めかけていて、たとえ非合法であろうと許可書の発行がどれだけうれしいかを語ろうとしていた数十人のLGの意見を、その委員長がきくことはなかった。

訳&記事の解説:伊藤

 

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