いまだゲイに拷問を行っている
エジプトに関するレポート

by ワタル

 新しい報告によると、エジプト政府は、全国的な同性愛行為の取り締まりの一部として、男性間で性行為をもった人を定期的に拷問にかけているとのこと。

 国際的な人権機関「人権ウォッチ」(Human Rights Watch:本部はニューヨーク)は、今月1日に新しいレポートをカイロで発表した。記者会見には、人権ウォッチの他に、5組のエジプトの人権団体が参加した。これらの団体は今まで、エジプトでのゲイの迫害について目をつぶってきたので、団体の代表らが姿を現したことは特筆すべきことであった。

 このレポートでは、数百人もの男性が国中をあげて行われた諜報活動により逮捕され、性的指向を理由に監禁され、拷問にかけられた。また現在、多くの医師が容疑者らを身体検査にかけ、法医学的にゲイかバイセクシャルかどうかを証明しようとしている。

 この144ページに及ぶレポートでは、同国に対しプライバシー法を尊重し、エジプトのゲイ男性への取り締まりを和らげるよう、世界中から抗議があるにもかかわらず、政府は性的に多様なグループに対する待遇を変えていないと伝えている。

 エジプトには同性愛に関する法規制がないにもかかわらず、人権侵害が横行していて、むしろ「公序良俗」や「イスラム教の保護」に関係するという口実の法令を理由にしている。

 報告によると、秘密捜査の警官が、インターネットや広告を通してゲイ男性と知り合う手はずを整え、会うと同時に逮捕に及んでいるという。容疑者は街中でも逮捕されており、「疑わしい同性愛行為」の手入れをできるよう、特定個人の家の場所を警察に密告している者もいる。

 「常習的な放蕩行為」の罪で逮捕された人たちは、警察で暴行を受け、拷問にかけられるという。被害者らの証言によると、彼らは縛り上げられ、苦しい姿勢でつるされ、手足や性器や舌をタバコで焼かれたり、冷水の中に浸けられたり、電気ショックを与えられたりするなどの拷問を受け、また、看守が他の囚人をけしかけ、レイプするよう促したとも語っている。

 「どんな被害者であろうと、拷問刑は絶対に禁止すべきであり、それは世界共通の見解であるべきだ」と人権ウォッチの代表、ケネス・ロス氏は語っている。「それが政治的意見や性的行為であろうが、周りが受け入れないであろう被害者の拷問を容認するということは、政府がその卑劣な行いを他の多くの人にも行使する可能性あるということです」。

 同国がゲイやバイセクシャル男性の待遇に関して非難を浴びたのは今回が初めてではない。昨年は、人気のクルージングスポット(発展場)で62人が逮捕され、2001年には、クイーンボートクラブでのゲイナイトに参加したとして52人が逮捕されている。

 「人権ウォッチはこのエジプトでの拷問を10年以上に渡り記録していますが、最近の政府が、率先して同国の人権像を改善する姿勢を見せようとしているにもかかわらず、実際に拷問を行った責任者を調査し、処罰する義務を怠っているのであれば、まるで意味がなく、とても残念なことです」。

 これらの逮捕劇やそれに伴う醜聞や恥辱を通して「道徳的な混乱」を作り出すことで、エジプト政府は鬱積する政治や経済危機をマスコミの目からそらそうとしている、とレポートは伝えている。

 非難の的になっている風紀取り締まり担当のエジプト警察官長、アッセン・オムラン氏はコメントを控えた。

翻訳&記事の解説:ワタル
(ワタル:埼玉県在住/翻訳スタッフ)

 

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