米国、ノースカロライナ州のウィルミントンのある両親は、訴訟も辞さないほどの怒りをあらわにしている。この両親の小学1年生になる娘が、学校から王子様が別の王子様と結婚するお話の本を持って帰って来たためだ。
「私は本当にびっくり仰天しました」と娘の父親、マイケル・ハーセルさんは、語る。「私の子どもはこういったことを理解するには早過ぎます。私たちの信仰に反することに関しては特にそうです。ウィルミントン学校管区が、同性愛に関する内容を子どもに読ませるのを認めているとは信じられません」。
この32ページの本、“King & King”(by Linda De Haan and Stern Nijland)は、6歳児以上を対象として、2001年にカリフォルニア州バークレーにあるテン・スピードプレスから出版され、主人公のバーティ王子が、真実の愛を捜し求めるというお話になっている。
「昔あるところに恋に悩める王子がおり、母である女王はその年の夏の終わりまでに王子が結婚するというお触れをお出しになりました」。ストーリーの抜粋は、同出版社のウェブサイトで読める。「そして、王子にもっともふさわしい相手を見つけるという一大事が始まったのです。そして、驚くことなかれ! お相手の“彼”の名前はリーといいました」。
この現代に即したおとぎ話は、疲れ果て、お国の実情にひどく悩まされていた女王が退位を決めるところから始まる。“王女のことなど考えたこともなかった”跡継ぎである王子は、女王の長い間の説得についに降参し、王位を継ぐために結婚することを誓いました。王子にふさわしい花嫁探しは広く遠くまで及びましたが、望まれた王女たちの誰一人として王子のおめがねにはかないませんでした。マドレーヌ王女が現れるまでは・・・。王子はあっという間に夢中になってしまったのです・・・、王女の兄弟であるリー王子に。二人の結婚式はとても特別なものでした。女王は太陽の下、寝椅子でお休みになることができ、そしてみないつまでも幸せに暮らしました。
この絵本はバーティ王子とリー王子が結婚し、キスを交わすシーンで終わりとなる。 ハーセルさん一家は、娘の通うフリーマン小学校が、この絵本を他の生徒に貸し出さないと約束するまで、絵本を家で預かると語った。
同小学校の図書館員で、マスコミの対応に当たっているバーバラ・ホーレーさんは、「これはハーセルさんの一家族が勝手に決められる問題ではない。絵本をちゃんと返し、この問題を担当する審理委員会のほうに申し立てをするべきです」と述べた。
エリザベス・ミアーズ校長は、「ここは多様性に富んだ学校です。ある家族にとっては不適切なことでも、別の家族にとっては完全に受け入れられることもあるのです」と付け加えた。
「GLSEN:ゲイ/レズビアン/ストレート(異性愛者)教育ネットワーク」の副代表であるエリザ・バイアードさんは、これらの意見に同調し、学校がとる措置によっては、生徒たちに意図しないような影響を及ぼしてしまうことがあるでしょう、と語った。
「学校側は、本の中にゲイやレズビアンの登場人物が出てくるということを基準に先制検閲を行うべきではありません。現在、より多くのGLBTの家族を持つ子どもが学校にいる中で、GLBTの家族を含むどんな家族も、自分の家族に関する有害なメッセージを受け取らないようにさせることが重要です」。
この本は去年の始めからフリーマン小学校に所蔵されており、学校はこの続きである“King & King & Family”(この3月に発売になったばかり)をもうすでに注文していた。
ハーセルさん一家は、この問題に関して申し立てをするつもりだそうで、また娘を別の学校に転入させることも考えているとのこと。
翻訳&記事の解説:ワタル
(ワタル:埼玉県在住/翻訳スタッフ)
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