アムネスティ・インターナショナル
世界規模で起きている同性愛者虐待を非難

by 井出

 エクアドルで、同性愛者擁護の活動家が襲撃された事件を受け、アムネスティ・インターナショナルは22日、国連に対し LGBT(レズビアン/ゲイ/バイセクシャル/トランスジェンダー)の人々を虐待から守るよう訴えた。

 襲撃されたのは、人権擁護団体 the Friends for Life Foundation のパトリシオ・オルドニェス・マイコ氏で、3月12日、ナイフを持った男が彼の事務所に押し入り、彼を襲った。その男は「ホモ野郎はぶっ殺す!!」と叫びながら、マイコ氏に襲い掛かったという。マイコ氏は胸部と背中を負傷した。

 その襲撃の原因は、マイコ氏が現在起こしているエクアドル警察との裁判にあるとみられている。マイコ氏は2001年、エクアドル警察に不当に逮捕され、逮捕中に警察官から性的虐待や人権を無視した扱いを受けたという。

 アムネスティ・インターナショナルが訴えたこのケースは、「ブラジリアン・リゾリューション」(「人権と性的指向」決議案)を近く議論する予定の、国連人権委員会でも取り上げられる。

 「ブラジリアン・リゾリューション」(「人権と性的指向」決議案)は、全ての国・地域に対して、性的指向は基本的人権であり受け入れなければならない、と要求する案である。決議案は、いくつかの国、特に宗教的に同性愛を禁止している国々から強く反対されそうだが、EU(ヨーロッパ連合)からの全面的な支持をとりつけている。

 アムネスティ・インターナショナル・イギリスのメディア担当部長、レスリー・ワーナー氏は23日、次のように述べた。
 「マイコ氏の例のように、同性愛者の権利擁護を訴える人たちに対する暴力や差別は後をたたない。危機感を感じるべきだ。それと同時に、今現在でも、世界中で、何百万人もの人々が、性自認や性的指向によって投獄・拷問・暴力そして差別に直面している。国連が彼らにもっと目を向け、国際的な擁護を確立すれば、状況はもっとよくなるであろう。国連は同性愛者やトランスジェンダーの人々を、今こそ完全に擁護するべきである」

 一方、エクアドル政府は反差別法を制定したにもかかわらず、エクアドルの警察は LGBTの人々の擁護を事実上行ってはいない。

 国際的に見て、今現在、世界で70を超える国で、同性同士の関係性は法的に保護されていない。

翻訳&記事の解説:井出
(井出:神奈川県在住/翻訳スタッフ)

 

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