ザンジバルで、同性愛者への罰則強化

by 井出

 アフリカ東岸沖に浮かぶ島、ザンジバルで、男性とセックスをしてつかまった男性に対して、終身刑を課す法律の制定に向け準備が進んでいる。

 ザンジバルは、タンザニア連合共和国に属し、独立に近い自治権を持っている島で(もともと別の国だっものが合併)、主にイスラム教が信仰されており、イスラム教の指導者らは政府に大変影響力を持っている。

 ザンジバルは、同性愛者向けのクラブとかがあるわけではないが、同性愛者の旅行先として人気のあるスポットになっている(主に南アフリカからの旅行者にとって)。同性愛者の旅行者がますます増えているという事態が、イスラム教系の指導者たちから、大きな反発を呼ぶ結果になった。国際的に同性婚が容認されている現状の中、ザンジバル政府は、自由化の波に飲み込まれないよう必死なのである。

 直接的なきっかけは、昨年、島で同性同士の「結婚パーティー」(もちろん正式ではない)が公然と行われたことにある、とされている。この件で、ザンジバル司法副長官のオマル・マクング氏は次のように答えた。「我々は、ここザンジバルで同性間の結婚式が行われたという情報を得ている。我々はこの事態を深刻に受け止め、然るべき措置をとらなければならない」。

 新しい法律では、同性と性的接触を持った男性は、25年の刑に科せられ(ザンジバルでは「終身」はこの年月を意味する)、同性と性的接触を持った女性は、7年の懲役刑が科せられるという。

 ザンジバルでは、同性同士の性的接触は法律で既に禁止されているが、今回のこの措置は、政府が、ザンジバルにおいて、性の多様性を受け入れる傾向がどんどん広がっていることを抑えるための動きである。政府は、同性愛文化が、島で花開きつつあると認識して心配している。

 差別的な伝統が残っているザンジバルでは、ゲイ/レズビアンは、まだとてもカミングアウトできる状態ではなく、異性と結婚せざるを得なくなる者が多い。その上、罰則があり、今また強化されようとしている。それでも、自分の性的指向を隠さずオープンにする同性愛者が増えつつあるという。

 この新しい法案は、アフリカ諸国に同性愛嫌悪が存在している例証となる。ジンバブエのロバート・ムガベ大統領は、世界的広がりをみせている同性愛者の権利について、ことあるごとに非難している。「イギリスのブレア首相は、同性愛者の政府を指揮している」と、罵ったことがあるくらいだ。

 ムガベ大統領は、同性愛者を含む人権擁護の活動をしている高名なピーター・タッチェル氏から抗議の的にされており、大統領を人権侵害の罪で逮捕するよう求めている。

翻訳&記事の解説:井出
(井出:神奈川県在住/翻訳スタッフ)

 

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