イギリスで同性カップルの権利を保障する
シビル・パートナーシップ法が提案へ

 イギリスの国会議員は、31日、シビル・パートナーシップ法案を公開した。国会を通過すれば、英国で初めて、固い絆で結ばれた同性カップルに法的認知を与え、異性カップルと同じ権利を保障する法律となる。この法案は、政府提出で、すでに法律があるEUの9つの国(ベルギー・オランダ・デンマーク・スウェーデン・フィンランド・フランス・ドイツ・ポルトガル・スペイン)を参考にして作られた。ブレア政権としては、年末までに可決したいという意向を示している。

 法案によれば、同性カップルは、資格を得るために、公的な手続きを経てお互いの関係を登録しなければならない。この資格は「結婚」ではなく、2人の人間の間の契約として捉えられており、シビル・ユニオンとほぼ同じになる(ただし、米国ヴァーモント州などと違って、異性カップルはこの制度を利用できない)。病院での面会権、養子をとる権利(=ふたりに親としての責任)、資産にまつわる権利、国の年金や生命保険に関する権利、共同で移住できる身分の保全など、たくさんの権利と責任を得ることができる。別れる場合も、法廷を通じての「正式な」過程を経なければならない(ほとんど離婚訴訟と同一)。

 ロンドンで法案の詳細を発表した、この法案の政府内の担当者ジャッキー・スミスは、「この法案は、あまりにも長い間、敬意と認知と公正さとを与えられてこなかった人たちに、それらを得る道を開きます。同性カップルは、その関係性が公的に認知されていないために、毎日の生活の中で、本来かかわらなくていいはずの様々な問題にしばしば直面しているのです」と語った。

 10年間、この法案のために議員に働きかける請願活動をしてきた、イギリスのGLBT人権団体「ストーンウォール」は、法案を大きな勝利として歓迎した。同団体の最高責任者ベン・サマースキルは、「これは、長期間にわたってパートナーシップを維持している同性カップルの認知へ向かっての象徴的で大きな一歩です。とうとう、私たちは、21世紀の生活の現実を反映する法律を見ることになるのです」と述べた。

 当初反対していた保守党も、同性愛者の人権団体から、同性愛者がいかに差別されているかに関して話を聴くなどの過程の中で、推進に転じた。それでもまだ強硬に反対している議員もいるが、保守党はすでに、新しい指導者マイケル・ハワードの下で、各議員にこの法案を支持するよう徹底させつつある。したがって、労働党も賛成している現状からいって、法律の制定は順調に進むと予測される。


訳&記事の解説:伊藤

 

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