米カリフォルニア州で結婚平等法案が進展

by ワタル

 同性カップルに結婚許可書を与える法案が、4月20日、カリフォルニア州下院委員会で承認された。これでアメリカで初めて、立法機関が同性婚姻権を投票で可決したことになる。

 同性愛者を公言している民主党下院議員のマーク・レノさんが草案した、結婚許可書非差別法案(AB 1967)が、支援者や反対者などの熱のこもった証言を経て、カリフォルニア州下院の司法委員会で承認された。民主党議員8人が法案に賛成、共和党3人が反対し、両党ではっきり分かれるという結果になった。

 投票後、レノさんは「この8人の賛成投票をとても誇りに思います。彼らは特定の特権のためではなく、市民権のために立ち上がってくれたのです」と語った。

 この法案に反対の投票をした共和党下院議員のパット・ベイツさんは、同性婚の問題は議会に上がってくる前に、法廷で決定されるべきだと語った。

 しかし、法案の擁護者は、この問題を実行に移す権利が議会にはあるとの反論をしている。委員会の議長である民主党下院議員のエレン・コベットさんは、「立法府としての議会が、この法令を制定することは可能であることを明言しておきます。そして実際、結婚の定義をするのは私たちの管轄権内にあると認識しています」と言っている。

 同日の朝、委員会が召集されたときは、投票結果の行方はまったく予想がつかない状態だった。委員会メンバーのうち5人は、同法案の共同著者だったが、LGBT問題に対して今まで強硬な態度をとってきた2人の追加メンバーは、法案へは距離を置き続けていた。

 その前日には、同性婚をサポートする40人以上の教会指導者らが、法案通過のための議員へのロビー活動を行っている。

 この法案は、州の家族規定にある結婚の定義を、男女間のものから「二人の人間」の間によるものと変更する。これにより、同性カップルに対し、市が合法的に結婚許可書を発行することが可能となる。

 「私たちの市民権はとても重要な一歩を踏み出しました。結婚は特権ではなく、権利なのです」とレノさん。

 この法案をサポートするために証言した人の中には、サンフランシスコから来たレズビアンのカップル、ランシー・ウーさんとクリスティ・チャンさんがいた。チャンさん(40歳)は、二人の5歳になる娘、オリビアちゃんを膝の上に乗せながら証言をした。チャンさんは、彼女の両親も40年前、異人種間のカップルの結婚ということで、似たような苦難に直面した、と語った。チャンさんの父親は中国人で、母親は白人だ。

 「周りの人は、子どもに先天性異状が起こるから、結婚しないほうがいいのだと思っていました。でも今は、多くの異人種間のカップルに、多くの素晴らしい子どもたちがいます」とチャンさん。
 「私たちの娘が大きくなったときに、同じように、この社会がこれほど進歩したということを伝えてほしい。彼女のいる世界が、多くのカップルが私たちのように結婚できるような場所であってほしいと思います」。

 ウーさんとチャンさんによる証言と、2人の息子を持つ、別のゲイ男性カップルの証言は、何人かの委員会メンバーが投票前の意見陳述で引き合いに出していたと、同性婚の権利を求める団体、「平等を求めるカリフォルニア」のキンナ・パテルさんは話す。「彼らの真剣で感動的な証言が、この問題の重要性を認識させ、委員会のメンバーに、この法令によって彼らのような人々が恩恵を受けるのだということを訴えることができたのだと思います」。

 同性愛者のアクティビスト(人権活動をしている人)は、この結果を非常に喜んでいるが、この委員会によるサポートが、決して法案の議会通過に直結するという保証はないことを強調した。

 「これは価値ある勝利ですが、この法案を法律にするには、まだいくつのかの越えなければならないハードルがあります。この結婚の平等の夢を実現するために、まだみなさん一人一人のサポートが必要です」と「平等を求めるカリフォルニア」の代表ジェフリー・コースさんは言っている。

 この法案は、これから州予算委員会の承認を経て、全下院議員による投票へと進む。

翻訳&記事の解説:ワタル
(ワタル:埼玉県在住/翻訳スタッフ)

 

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