現在多くの州で、ゲイやレズビアンカップルを法的に認めないとする法制化の動きがある中、メーン州では長期間パートナーとしての関係を続けている同性のカップルに対し、結婚しているカップルと同様のいくつかの社会保障手当を与えることになった。
このドメスティック・パートナーシップ法案は、州議会の下院を84対58で、上院を18対14で通過していた。そして先月29日、ジョン・バルダッシ州知事が同法案に署名をした。これにより、遺産相続権、遺族報償制度、保護者権や、親族としての身分などの権利を、長期間一緒に住んでいるゲイやストレートのカップルにも拡大することになる。
バルダッシ知事は、これで全州民の市民権を州が保障することができるでしょう、と法案に署名した理由を説明した。結婚していないカップルに州が権利を与える法律ができたのは、メーン州で5番目となる。
「法的な保護がもっとも必要なときには、この法律が同性カップルを助けてくれるでしょう」と「イクオリティ・メーン[平等を求めるメーン]」の代表、ベッツィ・スミスさんは話す。スミスさんはこの法制化を推進していた代表者の一人で、州知事が主催した法案署名のセレモニーにも招待された。
「この上院での法案制定投票で、私たちの理想をかなえることが、オーガスタ[メーン州州都]の公選議員の義務であることを再認識しました。それはすべてのメーン州民が、法律の下で公平かつ平等に扱われるよう、保障することです」
「自分のパートナーが亡くなるというのは、人生でとてもつらいときです。いくら家族が支えになってくれたとしても、法的な保護制度は必要なのです。たとえ遺書がなくても、この法律があれば、ドメスティック・パートーナシップにより、家や共有財産を守ることができます」とスミスさん。
「イクオリティ・メーン[平等を求めるメーン]」では、州の福祉サービス局と共に、ドメスティック・パートナーの登録のための書類を作成するとのこと。判事はこれらの書類を使って、カップルの法的身分を認知することができる。
この登録をするための資格として、カップルは最低12ヶ月間一緒に住んでいなければならない。この12ヶ月という基準は、2001年にできた、ドメスティック・パートナーに医療保険を与える法律で、メーン州の民間保険会社によるゲイカップルへの給付を保証するために、州が取り決めたものだ。
強力な反対運動が起こらない限り、法律は90日以内に実施されるとのこと。この法律に反対しているグループとしては、“Christian
Civic League of Maine”(「メーン州キリスト教市民連盟」)がある。過去には、GLBTコミュニティを差別から保護する市民権法が議会を通過しようとしたとき、同団体がメーン州の“people's
veto”(人々の拒否権)と呼ばれる投票発議権を行使して、議会の決定を覆すということがあった。
今回この団体は、前回と同様の戦法を使って法律を阻止するかどうか、まだ公的な発表をしていない。
「彼らが反対運動をしないといいのですが。少なくともそれが成功しないことを願っています。そうすれば、本当に勝利を祝うことができますし、この市民権法の作業に専念できます。このドメスティック・パートナーシップ法で、人々に同性愛者の家庭がどういうものなのか教えていければと思っています。そうすれば、GLBTの人を保護するこの市民権法が、必要なくなる日が来るかもしれません」とスミスさん。
「メーン州の人々は、完全な平等に一歩近づきました。6000人以上のメーン州の同性愛者が、パートナーが亡くなったときに、重要な法的保護を受けられることになります。バージニア州やオクラホマ州で反家族法案が制定されている間に、メーン州では、すべての家族に同等の権利と責任を与えるよう進展しているのです」と「人権キャンペーン」の代表、シェリル・ジェイクスさんは話している。
翻訳&記事の解説:ワタル
(ワタル:埼玉県在住/翻訳スタッフ)
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