5月17日、ついに米国マサチューセッツ州で、同性カップルに対する結婚許可書の発行が始まった。
最も早く発行を開始したのは、同州のケンブリッジ市。アメリカで最初に正式に同性カップルに結婚許可書を発行した市、ということにもなる。ケンブリッジ市長マイケル・サリバンは、日曜日の夜午後10時頃、市役所のドアを開け、真夜中までカウントダウンして祝い合おうという何十もの同性のカップルを建物に招き入れた。
3層のウェディングケーキやパイなどの菓子、それを流し込むための発泡性リンゴ酒やコーヒーなどが所狭しと並べられていた。地域やLGやケンブリッジ小学校の子どもたちなど、さまざまなコーラス隊が、歌で祝った。
時計が真夜中を告げると、最初のカップル、マーシャ・ハムさん(56)とスーザン・シェパードさん(52)が呼ばれ、アメリカで法的に結婚した最初の同性カップルとして歴史に名をとどめた。2人の女性は、とても緊張していて、ハムさんは、申込書を手渡された時震えていた。申込書に記入し終わると彼女は、「これで倒れることができます」とジョークを言った。
申込書に記入に来るカップルの列はどんどん長くなり、夜明けまでに260組のカップルが、結婚の最初のステップである、結婚許可書の申込書の記入を終えて提出した。各カップルは、3日後(20日・木曜)に、再び市役所に許可書を取りに来る。それで、法的に結婚したことになる。
各カップルが市役所から出てくるたびに、外に集まっていた1000人以上の支持者たち(大半は異性愛者)から大きな大きな歓喜の声が上がった。
ボストン市役所の前にも、何百人もの人々が長い列を作り、整理券まで配られた。午前8時30分に市役所が開き、申込書の受付が開始された。混乱を避けるために警察も動員された。市役所の職員のうち、約20人が、「ウェルカム」バッジを付け、カップルを案内した。さらに市は、3,000冊のフルカラーのパンフレットを印刷した。その中には、結婚許可書を得るための手引きと、トーマス・M・メニーノ市長からのお祝いの手紙を始め、たくさんの役立つ情報が掲載されている。
ボストンは、結婚許可書の発行を、ミット・ロムニー知事からの指令通り、マサチューセッツ居住者に制限している。
しかし、プロヴィンスタウンとサマーヴィルとウスターの3つの都市は、州外の同性カップルにも許可書を与える予定だ。
キリスト教各派は、牧師に同性カップルの結婚式を挙げないよう指示したところ(カトリック系など)もあれば、逆に同性カップルの結婚を支持したところもある。個々の牧師に判断をゆだねているところもある。
ゲイの結婚を反対しているロムニー知事は、「法律は尊重する」と言って、同性カップルの結婚式に出たい、といったという。ロムニーは、彼の知り合いの同性愛者のひとりに結婚式に招待されたというが、その日彼はその地にいない予定だ。
マサチューセッツ州の今回の「歓喜の涙」の始まりは、2001年4月11日のことだった。7人の同性のカップルは、結婚許可書の申請を断られたことで、州の同性婚禁止に疑問を呈するために、ボストンのサフォーク上級裁判所に訴えた。サフォーク上級裁判所は、議会で決めるべきことだ、としたが、上告した結果、2003年11月18日、州最高裁が、同性婚を認めないのは州憲法違反であるとして、180日以内の実現を指示した。その日が、5月17日なのである。メディアは、この7組のカップルを特集するなど、いま、マサチューセッツ州は、歓喜が渦巻いている。
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訳&記事の解説:伊藤
【旧サイト】すこたんソーシャルサービス
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