オーストラリアで同性婚禁止の動き

 オーストラリアのジョン・ハワード首相は、27日、同性婚の禁止を推進すると表明し、法改正案を議会に提出した。オーストラリアのLGグループは、こぞって反発している。

 ハワード首相は、婚姻法を改正し、同性カップルに財政的権利を与えることを明記する一方で、「結婚」そのものは、「1人の男性と1人の女性」に制限する、という提案をした。首相は、国会に対し、できるだけ早く審議に入るよう要請した。「議会で審議する内容に値しない」と批判している議員もいる。

 ロビー活動をしている同性愛者のひとり、ソマリ・サリースは、選挙前にこのような提起をするのはおかしいし(選挙目当て)、市民の意見や現実も的確に把握していない、と首相に対する反対意見を述べた。彼女は、「とんでもない過剰反応だ。私たちオーストラリア国民は、2004年に生きているのであって、1950年代に生きているわけではない。また生きたいとも思っていない。みんな、『平等』は日常生活の一部だと思っている」と言った。

 さらに彼女は、アメリカの憲法を変えようとしているブッシュ大統領に、ハワード首相が似てきていて実際に政策も追随している、と指摘する。最近首相が訪米した際に、同性婚についてもブッシュ大統領と直接話して、今回の発表になったのではないか、と推測されている。

 ハワード首相はまた、同性カップルが海外から養子をとることも法律で制限することを考えている。彼は、今年、同性カップルに養子を持つことを認めた州に対して、そういう権限がないにもかかわらず、考え直すように指示を出している(オーストラリアでは、養子に関しては、国ではなく州で決めることになっている)。

 しかし、一方で、連邦政府は、オーストラリアをゲイのオアシスとして、海外からの名声を高めるために、何百万ドルも観光事業計画に支出している事実がある。この矛盾に対する批判も高まっている。


訳&記事の解説:伊藤

 

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