7月14日、カナダのもうひとつの管轄区域で同性カップルの結婚が認められた。慣習法(Common
Law)上、結婚は、男女間のものに限定されているが、ユーコン準州最高裁は、この様な慣習法上の結婚の定義は、(ピーター・マッキンタイヤー判事の言葉を借りれば)「誤り」であり、「同性愛者に対する差別」であるとの判断を示したのである。
マッキンタイヤー判事は、ユーコン準州政府に対し、結婚の定義を、「二人の人間が、他の全ての人間を除いて、二人で生活を送るための自発的意志による結びつき」と変更するよう命じた。
判事は、傍聴者で満員の法廷で判決を読み上げた。旧態依然とした法律に異議を唱えたステファン・ダンバーとロブ・エッジのカップルは、今年の1月に人口統計局に初めて結婚許可証の発行を申し込んで以来、結婚を勝ち取るために闘い続けてきた。(訳注:カナダのユーコン準州では、結婚するに先立って、必ず人口統計局[the
vital statistics office]から結婚許可証の発行を受けなければならないシステムになっている。結婚許可証が発行されたからといって、法的に結婚が成立するわけではなく、一定の方式に従って結婚の儀式を行い、登録することが必要である。詳しくは、こちらのサイトを参照)
人口統計局が二人の申出を却下した時、ダンバーとエッジはユーコン準州人権委員会に異議を申し立て、その後、6月に裁判所に提訴した。連邦政府は、二人に対し、司法長官を通じて、まず教会で結婚式を行い、連邦議会が連邦結婚法の修正案を可決させてから遡及的に結婚許可証を取得することを勧めていた。法律アナリストによれば、連邦政府のいうプロセスを経ていた場合、最大2年はかかっていたところであった。しかし、マッキンタイヤー判事は、結婚許可証の発行を遅らせることは違法であるとの判断を示した。ダンバーとエッジの二人も、結婚許可証を遡及的に取得するのは正しいことだとは思わなかったと述べている。
ダンバーは、判決の後の記者会見で、「結婚許可証を遡及的に取ることを選択していたら、私たちの結婚は無意味な結婚だったでしょう」と述べた。彼は、報道陣に、17日に彼と彼のパートナーは法的に結婚すると伝えた。
「17日の私たちの結婚は、私たちの人生でもっとも大切なものであり、お互いに感じている深いかかわりを象徴するものであり、私たちの友人、家族およびコミュニティに表明したいものとなるでしょう。そのことをほかの人に説明するのはなんだか奇妙な感じがします。いつか、だれも、何故、同性愛者が結婚したいのかという質問をしない日が来ることを望みます」とロブ・エッジは述べた。
ブリティッシュ・コロンビア州、オンタリオ州、ケベック州、そしてユーコン準州の全てが同性カップルの結婚を認めている。連邦政府は、カナダ連邦最高裁に対して、カナダ全土で同性愛者の結婚を法的に認める連邦法案についての意見を求めている。先だっての選挙では、ポール・マーティン首相は、この連邦法案を支持することを公約として掲げた。
「イーガル・カナダ」(訳注:カナダのLGBTおよびその家族の平等を促進するために1986年に設立されたカナダの団体)のアドボカシー担当ディレクターのローリー・アーロンのような結婚の平等の提唱者たちは、この最新の判決をカナダの他の地域に知らしめなければならず、カナダの同性愛者の結婚は全て法的に認められるべきであると述べている。(注:「アドボカシー」は権利[とりわけ人権]を獲得・擁護するための活動を指す)
「この判決は、カナダ中の政治組織に、同性愛者の結婚の憲法上の権利を認めなければならないというメッセージを送っている。結婚は連邦法の問題であるにもかからず、州・準州によって、結婚ができるかどうか異なるという虚構はもはや維持できない」とアーロンは述べた。
翻訳&記事の解説:敦
(敦:東京都在住/翻訳ボランティア)
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