イギリスの大手リゾート企業
同性カップルの宿泊禁止条項を撤回

by Nick

 イギリスのホリデーリゾートチェーン「サンダルズ」は、再三にわたる反対キャンペーンに負けた形で、同性カップルの宿泊禁止条項を撤回するに至った。同条項は2001年に施行され、同社所有のカリブ地域の13リゾートで適用されていたものだ。

 カリブ地域でのエキゾチックな休日をカップルにむけて企画する同社は、レズビアンやゲイの旅行者の宿泊を拒否していることについて、同性愛者の団体だけでなくメディアその他も含めて、何年も非難され続けてきた。

 例えば、ジャマイカのサンダルズ・リゾートへの旅行を予約したあるカナダ人の同性カップルは、同社によって宿泊を断られ、旅行の予約を受理したモントリオールの旅行代理店とサンダルズ・リゾートをケベック州人権委員会に訴えた。

 さらに、イギリスの最大手のカード会社、バークレイカードはサンダルズの方針に対する苦情が原因で、同社をカード特典の対象から外すに至っている。

 昨年には、「同社に対する行動を起こそう」という呼びかけにロンドン市長ケン・リビングストーン氏が答える形で、ロンドンの公共交通機関(地下鉄など)から同社の広告が取り除かれた。10月12日、同市長は、ホモフォビア(同性愛嫌悪)と戦う重要な一歩としてこの転換点を歓迎した。

 「我々は、今、平等の権利に向けて大きな一歩を遂げるという成果を持った。ロンドンの交通制度等に広告を提供するような公共機関には、差別の助長は彼らの関心外である、ということを企業に説得する力があるということを証明しました」と、ケン・リビングストーン市長は述べた。
 「このような差別を助長するようなことをする他の企業も、しっかりと長い時間考えて、方針を変えて欲しいものです」と続けた。

 なお、当時の「愛が一番必要」というキャンペーンでは、ジャマイカ、セントルシア、アンティグアやバハマは「ロマンティックで、異性カップルだけのリゾート」と謳われていたという。ターゲットは新婚旅行者だった。どんなに反対論が注目を浴びようと、ゲイ、レズビアン・カップルに対する宿泊拒否はサンダルズでは必要であるから続けてきたという。

 ゲイの権利団体「ストーンウォール」は、禁止条項の撤廃は遅きに失したのではないか、と批判した。

 「ストーンウォールはこの禁止条項を撤廃させるために昨年から精力的に活動してきました。サンダルズがレズビアンとゲイに対する差別をやめるという決断をしたことは歓迎しますが、遅すぎるという気持ちもあります」と、ベン・サマースキル代表は述べた。
 「倫理的、商業的な観点から見ても、このような形で同性愛者全人口を除外してしまう、ということは全く意味がありません」と続けた。

 公式には同社は一貫としてその立場を守ってきたが、旅行業界筋の話によると、同社への圧力が裏では高まっているのを感じてきていたという。先週(10月第2週)、労働党の実力派議員のバーバラ・ロッシュ氏が同社への反対キャンペーンを行うことを発表した時に、さらにその圧力は高まったという。

 ロッシュ議員は、今週(10月第3週)、下院での市民パートナーシップ法に関する討論の際に、同社を非難する計画だとしている。大臣として、ロッシュ議員は「同性間の関係を法的に認め、同性カップルに異性カップルと同等の権利を認める」という趣旨の同法案の作成の手助けをした。同議員は、「労働市場や民間団体でのゲイやレズビアンの人々に対する差別を禁止する」という条項をもつEU指令の作成にも関わっている。しかし、EU指令には「商品やサービス」といった項目が除外されており、そのせいでサンダルズは同性カップルの宿泊を拒否することがこれまではできていたという。

翻訳&記事の解説:Nick
(Nick:東京都在住/翻訳スタッフ)

 

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