ドナ・ウィルソン、カナダ・サスカチュワン州判事が同性結婚を求め訴訟を起こした5組のカップルに対し有利な判決を下したことで、更にもう一つのカナダの地域で同性婚が11月5日に合法化されることとなった。
カナダの同性婚の合法化を求める活動家たちが運営する「Equal
Marriage」というウェブサイトによると、今回の裁判でウィルソン判事は原告側に勝利と共に、原告側に対し訴訟費用の10000カナダドル(約90万円)を与える裁定を下した。
昨年6月にオンタリオ州が口火を切って判決を出して以来、サスカチュワン州はカナダで同性婚を認める第7の州・準州となった。現在、カナダ連邦政府やほとんどの州政府では、もはや同性婚訴訟に異議を唱えることはなくなっている。そのため、この夏に国会で議論された同性婚法案が先取りの形で成立することはなかったが、その後カナダの多くの地域では議会に代わって法廷でこのような問題が議論されている。
Equal Marriageによると、同性愛者のカップルたちは、カナダ東部のニューファンドランド州で最近訴訟を起こしており、ニューブランズウィック州でも同様の訴訟に向け準備が進められている。カナダでは全部で4つの州と2つの準州が同性婚を認めない限定的な法律を保持し続けているが、同性愛者の平等権に未だ反対しているのは保守的なアルバータ州のみである。
その一方で、ポール・マーティン、カナダ首相は同性婚問題の解決に向け慎重に動いている。10月に、実際のケースではなく、「議会が結婚を法で定められるのか」、「異性愛者間だけの限定的な結婚法は違憲か」といった点を明確にするために作成された4つの質問をカナダ最高裁が審問した。予想される「イエス」(「法で定められる」「違憲である」)という結果が出た後、マーティン首相が率いる政党はカナダ全土での同性婚合法化議案についての採決を国会で行う予定である。
しかし、この調子では国会での採決までに同性愛カップルたちによる訴訟がすべて完了してしまうとEqual Marriageは指摘する。「カナダ人全体の85%が今、完全な結婚の平等化による利益を享受しています」とカナダのLGBT人権グループ「Egale
Canada」の権利擁護ディレクター、ローリー・アーロンは言う。「同性婚を認めることで誰かをおとしめることはありません。お互いにしっかり関わり合い愛し合っている同性カップルたちを社会に取り込むことで、カナダはより良い国へと変わっていくのです」。
11月2日にアメリカの11州では、多くの場合ではシビル・ユニオン(市民契約)も含めた同性結婚を禁止する州憲法修正案が住民投票で承認されたが、カナダの政策はこれとは非常に対照的である。ミシシッピー州での86%をはじめとする多くのアメリカの州での70%を超える圧倒的な修正案に対する支持は、アメリカで高まりつつあるキリスト教保守派的なムードを反映しており、こうしたことが北の隣国であるカナダや非宗教的な西ヨーロッパ諸国とアメリカとの間の溝を深める要因となっている。
翻訳&記事の解説:石田 京介
(石田 京介:カナダ在住/翻訳スタッフ)
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