ニュージーランド議会、シビルユニオン法を承認

by 井出

 大きな拍手喝采の中、シビルユニオン法が9日、ニュージーランド議会[1院制]で承認された。

 このシビルユニオン法が承認される3日前から反対派議員たちは法律を変えるために、国民投票にかけようと訴えていた。しかし、かれらの思惑は失敗に終わり、この日、65対55で可決された。

 このシビルユニオン法が有効となる2005年4月26日から、同性カップルや慣習法上の異性カップル[事実婚]に、結婚をした異性カップルと同等の権利や義務が与えられることになる。しかしながら、この法律によってニュージーランド婚姻法に定義されている、「婚姻は男女の間にのみ成立する」という項目が変わることはない。

 この法律を法制化したメンバー代表の、デイビッド・ベンソン・ポープ氏は「ニュージーランドヘラルド紙」の取材に対し、「この法律によって婚姻の定義が変えられるような事は決してない」と発言し、次のように語った。「この法律が議会を通過し、天地が逆転するような事がなければ、シビルユニオン法反対派はすぐにあきらめるだろう。この法律はもっとも基本的な事を人々にもたらす。法的に正式に彼らの関係性が認められ尊重され、この法律によってニュージーランド人は新たな選択肢を得る事になるのだ」。

 同性婚に反対するグループの代表、パスター・ブライアン・タマキ氏は取材に対し、戦いはまだ終わってはいないとし、「同性愛者たちはこの戦いに、さも自分たちが勝利したと勘違いしているが、戦いはまだ終わっていないのだ」と話した。

 ニュージーランド議会議員のラッセル・フェアブラザー氏は、「このシビルユニオン法は、同性愛者たちの機嫌を取る法律にすぎない」と答え、「政府は、大多数のニュージーランド国民が同性婚に対する心構えができていないので、妥協してこの法律を作った」と付け加えた。

 同じ議会議員のロン・マーク氏は「私はシビルユニオン法をかって支持していたが、承認時の投票では私は反対に一票を投じた。投票前、あるオープンリーなレズビアンが私に、『私はこのシビルユニオン法には反対です。なぜなら、この法律は私たちに、本当の意味での平等をもたらさない』と訴えかけてきたからだ」と述べた。

 しかしながら、シビルユニオン法が承認された際、議会で自分の性的指向を明らかにしているティム・バーネット氏とクリス・カーター氏はキスを交わし、法律支持者の人たちはお互いに抱き合って、承認を喜び合った。

 自然保護担当大臣のクリス・カーター氏は31年間パートナーであリ続けているピーター・カイザーさんと、法律が有効となったらすぐ、自分たちの関係性を登録する予定だ。彼は、ニュージーランド議会の歴史は、今まさに創られている、今まで与えられてこなかった機会がまもなく得られる、と語り、「今日、私はとても大きな喜びと、感激を感じました。私たちはどこに行っても自分たちの関係性が法的に認められる世の中を、もうすぐ手に入れることができます」と喜びを話した。

 「ニュージーランドの同性愛者たちは長い間隠れ続けてきた。1986年以来、同性愛者たちは社会で、少しずつ見える存在になってきた。しかしながら、同性愛者の家族の存在は、社会ではまだ見えない。同性愛者の家族に対して人々が不安に思うのは、生理的に湧き上がってくるからではなく、人々が同性愛者の家族の事について知らないことに恐れたり、誤解したりしているという単純な事実があるからなのだ。だから、同性愛者の家族の存在が見える時が今こそやってきたのだ」と彼は付け加えた。

 最終投票の前、約300人のシビルユニオン法反対者が、「Say No」の看板を掲げたりしながら、そのような無言の抗議を議会の外で唱えていた。彼らの中には感情的になり、聖歌を詠唱したり悲しみを表現している者もいた。

 一方、LGBTの活動家たちはスピーカーを使って、Weather Girlsのヒット曲(“Itユs Raining Men”)やQueenのヒット曲(“We Are The Champions”)を流し、そのような反対者たちを圧倒させていた。

翻訳&記事の解説:井出
(井出:神奈川県在住/翻訳スタッフ)

 

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