ドイツの動物園、ゲイのペンギンを
ストレート(異性愛)に「矯正」するのを止める

by Nick

 ゲイとレズビアン団体からの非難の声や、明らかに動物愛護の観点からも、ドイツのブレーマーハーフェン動物園のゲイのペンギンカップルを引き離そうとする計画に待ったがかけられている。同動物園の6匹のオスペンギンがメスペンギンと交尾をすることや「お近づきになる」ことにすら抵抗した後、同動物園の飼育係はペンギンたちをゲイのままでいさせることを決定した。

 同動物園の飼育係は、展示用全10匹のペンギンの中で、絶滅の危機に瀕しているフンボルトペンギン6匹がなぜ子孫を残せずにいるのかを理解できないでいた。ペンギンはカップル同士になり、求愛のダンスをし、共に巣をつくり、交尾もしていたにもかかわらず、雛は生まれてこなかった。1組のカップルが、石をあたかも卵のように温めて守ってきたのだが。DNA検査によって6匹が全てオスだと判明したとき、飼育係は「問題行動」が起こるたびに電気刺激を加えるといったことで知られる「嫌悪療法」によって、オスたちをメスと交配させるように誘導した。

 しかし今年始め、オスたちの注意を引くために、スウェーデンから4匹のメスペンギンが輸入されたのだが、ゲイのペンギンがストレート(異性愛)に変わるのは不可能なのは明らかだった。オス同士のカップルは引き離され、1匹ずつメスと体面したのだが元のオス同士の「恋人」と再会するまで非常に「寂しがっていた」という。

ドイツの動物園で飼育されている同性同士のペンギン。

 ドイツメディアが上記の計画が施行されたことを報道すると、動物園には世界中のゲイ団体から抗議のEメールや電話が殺到した。その抗議とペンギンカップル同士の強固な関係が幸いして、同動物園は今週(05年2月第3週)から「嫌悪療法」から手を引くという結果となった。

 非難に応えてハイケ・クエック園長は「私どもはペンギンの同性カップルを力ずくで別れさせようとしているわけではございません」と語った。それよりも、動物園の管理部はペンギンが本当に同性愛なのか、それともメスと「交際」する機会がただないのかを知りたがっていたということだ。園長は「オスのカップル同士の関係は、メスとの関係よりも明らかに強固なものではないだろうか」と語っている。

 ゲイのペンギンをストレートに戻そうとする試みは、大した成功もなく終わっている。ニューヨークのセントラル・パーク動物園は、6年にわたるローイとシロの関係をメスと交配させて別れさせようとする計画を取りやめた。ローイはとあるメスペンギンと短期間の時を共にしたが、今年早々になって別れ別れになった。ローイとシロは現在は一緒に時を過ごしていないので、ローイのメスペンギンとの「浮気」はシロとの関係に緊張をもたらしたかのようにもみえる。

 ペンギンだけが同性愛というわけではない。科学者は動物界のいたるところで同性愛行動を発見し、捕獲された動物よりも野生の動物の方がその確率が高いということも分かっている。人間に近いとされる類人猿の、ボノボ[ピグミーチンパンジー]のほとんど全てはバイセクシャル(両性愛者)だ。研究が示唆するには、性的に非常に活発で野性的だということだ。野生の若いオスイルカも頻繁に同性関係を結ぶ。

 動物の同性間性行動は、同性愛行動の起源についての論争を引き起こしてきた。同性愛者の人権団体は、ゲイの動物を例にとって同性愛は自然なものにするという考えを支持してきた。一方で、保守的な宗教団体はそのような性行動は「動物的だ」と一貫して呼びかけている。

 「性の選択:動物から学べることと学べないこと」("Sexual Selections: What We Can and Can't Learn About Sex From Animals")(2002年度、カリフォルニア大学出版)の著者であるマーリーン・ズーク氏は、動物の行動から人間の行動を結論づけることには抵抗はあるが、動物の同性愛行動は一般的な性に関する我々の理解を深めるために参考にすることができると語った。

 ズーク博士は、ボノボの例を特に挙げ、「メスの繁殖期以外でオスが性的アピールをするときがあります。性行為が繁殖活動に必要不可欠なのもではない、ということに突然気づくかもしれません。セクシュアリティとは、人が思っているほど狭義には使われない用語なのです」と説明を加えた。

 ブレーマーハーフェン動物園の6羽のペンギンについては、実験の成果をみる限り同性愛関係にあることについて何の疑いもないかのように見える。一方、スウェーデンから輸入された4匹のメスペンギンについては、何も動物園の寒さの中にほっておかれるような措置は受けていない。動物園は2匹のオスペンギンを新たに輸入した。園長が語るには「メスペンギンが一斉に取り残されなどしない」ようにするためだ。しかしながら、彼は未カップルのままでいるペンギンについて、アンバランスになってしまったメスとオスの割合をどのようにして解決するかには触れなかった。

 

翻訳&記事の解説:Nick
(Nick:東京都在住/翻訳スタッフ)

 

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