サンフランシスコ上級裁判所(第1審に当たる)の裁判官、リチャード・クレイマーは、3月14日、同性婚を禁じたカリフォルニア州法は、州憲法違反である、と判決を下した。
クレイマーの決定は、6つの異なる訴訟を統合したもの(5年間続いている「婚姻防衛法」違憲訴訟も含む)に対して出されているが、いずれも控訴され、最終的には州最高裁によって判断される見込み。
すでに2月までに、ワシントンの2つの上級審およびニューヨークの上級審で、性別に関係なく愛している人間と結婚することは人間の基本中の基本の権利である、という判決が出されている。
クレイマーの27ページにもおよぶ判決文の主な内容は次の通りであり、結婚するという人間の基本的な権利を同性カップルに与えることを認める流れの中にある。
いわゆる「基本的な」(注;"fundamental" )権利を侵害する法律は、人を動かさずにはいられない州レベルの関心に基づき、州による法的チェックを経て、厳密に修正されなければならない。子孫を作ることができないがゆえに、同性カップルが法的な婚姻権を否定されうるという州の観念は、誤っている(これは、ワシントンおよびニューヨークの上級審でも指摘された)。そもそも、異性カップルは、子どもを持つ予定がない、または持つことができない場合でさえ、結婚できるわけだから、州は、子孫を作ることの強要にほとんど関心を持っていないことになるではないか。また、同性婚の禁止は、性別による差別でもある。州政府は、この差別を正当化するために、エネルギーを割いてきたのだ。州の差別的な婚姻政策は、もっとも簡単な法的テストにさえ、落第点をつけられることだろう。
クレイマーは、判決文中で何度も、1948年にカリフォルニア州最高裁判所が下した画期的な判決に言及した。その年、州最高裁は、「異人種間の結婚」を禁止した法律を、アメリカで最初に憲法違反であるとしたのだ。当時の状況を考えると、「異人種間の結婚」は、現在の同性婚ほど一般的ではなく、数もかなり少なかった。米国の最高裁が同様の判決を出したのは、約20年後のことだった。
今回の判決は、カリフォルニアの裁判・法律の歴史の中でも、最高水準に当たるものだ、と評価されており、当然控訴審にも、意識下で大きな影響を与えることになるだろう。
そしてもちろん、訴訟にかかわっている団体を始めとして、同性愛者の各団体からも熱狂的に大歓迎されている。
2004年2月にサンフランシスコで結婚し(今いったん無効にされているが)、パートナーのスチュアートさんとともに裁判の原告になっている、ジョン・ルイスさんは、カップルになって18周年目を迎えたことを祝いながら同時にこの判決をよろこんでいる。ルイスさんは、「判決という法の言葉の下で、私たちも持つ人間性と、私たちも生得的に愛し合い親族となれることが認知されたんです。裁判官は、憲法が、ほんの一部の家族だけではなく、全ての家族を保護すると認めました。もうLGBTの家族は、二流ではありません」。
3月14日の夜には、サンフランシスコやロサンゼルスのウエストハリウッド地区で、判決を祝う集会やマーチが行われ、それぞれ数百人のゲイ/レズビアンが集まった。レインホーフラッグを振る者あり、昨年発行された結婚許可書を高く掲げる者あり、子どもを持ち上げるカップルありで、周囲は、希望と期待と決意に満ちていた。
クレイマーは、関係者に対して、今後の訴訟の進め方について調整する会合を3月30日に行うよう命じた。
記事のまとめ:伊藤
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