ジャネット・ジャクソンに米国のLGBT人権団体が「博愛大賞」

 6月18日、全米最大のLGBTの人権団体「人権キャンペーン」は、今年の「博愛大賞」に、ジャネット・ジャクソンを選び、表彰セレモニーを行った。

 同日夜、カリフォルニア州ビバリーヒルズにあるヒルトンホテルで、大勢の観客を集めて授賞の祭典が催された。ジャネットが市民権や慈善のために、多額の貢献をしているのはよく知られているが、今回、とりわけLGBTへの差別や偏見をなくす活動を支持して応援していたことが評価された。

 スコットランド出身の女優アラン・カミング[バイセクシュアルであることをカミングアウトしている]がジャネットをエスコートし、監督派教会所属で最初にカミングアウトした司祭に選ばれたジーン・ロビンソンが、基調のスピーチをした。

 

ジャネット・ジャクソン続報 6/21up


 ジャネットは、授賞セレモニーで、ユーモアあるコメントができる心境にないことをわびた。マイケル・ジャクソンのことが気にかかっていたのだ。マイケルに無罪判決が出て以来、ジャネットが公的な場に出るのはこの日が初めてだった。ジャネットは次のように述べている。

 「私と私の家族は、人生の中でも最もユーモアがない時期を通り過ぎたばかりです。深夜番組のコミックものでないとジョークなど言えません。それでも許されないかも。私はここ数ヶ月で、トンネルの出口には光がある、ということを知りました。その光は、本物で、美しく、私たちの心(マインド)を癒し、私たちの魂(ソウル)を強くしてくれました。今夜、私のハートは、その光に対する感謝の念でいっぱいです。私は、祈りが通じ、信じたことが報われ、寛容が美徳としてたたえられることに、深く感謝しています。神の無条件の愛にも感謝しています」。ジャクソン家の他のメンバーは、セレモニーでは見かけなかった。

 ジャネットの業績は当日、本人が登場する前に発表された。彼女は、「米国エイズ財団」「エルトン・ジョン・エイズ基金」「子どものためのエイズ基金」などの団体のために、何百万ドルもの資金を集めかつ寄付した。また、1997年に発売されたジャネットのアルバム『ザ・ヴェルヴェット・ロープ』“Velvet Rope”に収録されている「フリー・ゾーン」“Free Xone”(注)が同性愛への嫌悪や恐怖をなくそうという曲であること、同アルバムからシングル・カットされた「トゥゲザー・アゲイン」“Together Again”の売り上げの大部分が、エイズの研究と治療のために寄付されたこと、なども紹介された。

 ジャネットは、地味だがエレガントな黒のブラウスと、ギャザ[布地を縫い縮めて寄せたひだ]の付いた白い絹のスカートという、フォーマルなアンサンブルのツーピースを着て登場し、会場を埋めた数百人の参加者(高額の参加費を「人権キャンペーン」への寄付として払った人たち)からスタンディング・オベイションを受けた。

 ジャネットは寛容な微笑みを浮かべて、「本当にありがとう。光栄にもこの賞をいただけることに深く感謝します。みなさんの前にこうしていられて、こんなに幸せなことはありません。私は、あなたがたの内面にある想いに対して、お互いが親族であるかのように、深く永続的なつながりを感じます。愛を広げようとする人々が認められるのは、何といってもすばらしいことです」とスピーチした。

 彼女は最後に、「受容は正しいことです。優しくすることは正しいことです。愛は正しいことです。私は今まさに、偏見が理解によって克服され、心の狭さや頑迷さが心の広い共感に圧倒される、より優しい時代へと私たちが向かって行けるよう祈ります。その時、死後の審判[キリスト教の一部の考え]による苦痛が、愛の純粋さにとって代わられるでしょう」と結んだ。

(注)「フリー・ゾーン」“Free Xone”では、飛行機で隣の席の男性がゲイだとわかると態度を(悪い方へ)豹変させる奴の話が冒頭に出てきた後、くり返し、自由になろう、優しく寛容になろう、愛は自由、と訴え、男が男に出会って恋をする、女が女に出会って恋をする、かわいい子を取り戻そう、と同性同士の愛を賛美する。「あなたは本当にあなたのままでいい」「自分自身を好きになろう」といった歌詞もある。

記事のまとめ:伊藤

 

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