カナダで同性婚法が成立

 カナダの最高裁判所長官は20日・水曜日に、C-38号法案に署名した。これによって、法案は「法律」となり、カナダは同性カップルに完全な法的権利を与える世界で4番目の国になった。

 この署名に先立ち、19日深夜、この法案が上院で47対21で承認された。長い法廷闘争や政治抗争や支持者・反対者双方の運動にとりあえず終止符が打たれた形だ。その過程を象徴するように、上院の審議は激しいものだった。保守党はなんとか議決を延期し総選挙後まで保留にしようと試みた。そのため、真夜中近くの議決となり、承認が判明すると、支持者の歓びが爆発した。

 最後に発言した自由党の71歳の上院議員、クリステンセンさんは、法の下で平等に扱われることが、人間の精神にとってどれだけ大事かわかりますか、と訴えた。

 

 まだ闘い続けると宣言した保守派の議員もいる。保守党も、政権を取り戻したら法律を再検討し、次の選挙でこの法律を国民投票にかけることを公約にするかもしれない、と述べた。

 しかし、「結婚の平等を求めるカナダ人」“Canadians for Equal Marriage”メンバーのローリー・アロンさんは、カナダ市民は議論の再燃を望んでいないとして、最近の世論調査の過半数が同性婚を支持していることと(55%)、伝統的な結婚法(同性婚禁止)を残している州・地方が実質的にアルバータ州だけになった[注]ことなどをあげて、同性婚はすでにカナダ市民に受け入れられていると説明した。「政治的戦略的な理由以外で、この事実にノーということはできないでしょう。法律の内容自体がもう現実そのものなのです。同性婚に反対した議員も記名投票でわかっていますし」。
[注]プリンス・エドワード島はこの7月に同性婚を承認する9番目の地域となった/北部2地方は国レベルの法改正を待つと言明している

 アルバータ州は、連邦法(同性婚法)は受け入れるが、同性婚の扱い方を担当公務員にまかせる(つまりあれこれ文句をつけて婚姻を拒否できる)法案を用意している。しかし、ほとんど効果はないと考えられている。

 

 アーロンさんは、連邦全体に法律がいきわたることを強調し、今までの長い闘いの成果であることを強調した。それでも、ここまでの流れは加速度的だったと回想する。1999年に最高裁が同性カップルの権利を法的に認め、2003年にはオンタリオ州控訴裁判所が同性婚の排除は憲法違反だと認定、同年、当時のクレティエン首相はその判決を支持し立法化ヘの道を開くと表明、現在に至る動きが確定する。アメリカから、同性婚反対の団体へ資金が流入するとも噂されているが大きなバックラッシュを予想する人はいない。

 今回の同性婚法は、反対派の中心である教会への配慮も含んでいる。新しい結婚の定義は公的機関によるもので、宗教的な機関(例えばモスク、教会、シナゴーグと寺院)はそれぞれ自由に結婚を定義できる。

 法律は、早ければ21日にも発効し(英国女王エリザベス2世の代理の署名)、名実ともにカナダは、オランダ・ベルギー・スペインに続く世界で4番目の同性婚を認める国となる。アーロンさんは「カナダの人たちは、LGBTの人々を人間的価値の上で平等に見ています、そして今や法律上でも平等になりました。私は、自分の国を非常に誇りに思います」と述べて胸を張った。

 

記事のまとめ:伊藤

 

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