米カリフォルニア州で同性婚法案が上院通過 by
石田 |
||
米カリフォルニア州上院議会は9月1日、同性間での結婚を認める法案を賛成21、反対15の賛成多数で可決し、全米では初の同性婚を認める法案を可決した立法議会となった。全米の同性愛者人権擁護団体はこの歴史的な動きを歓迎した。 「いよいよこの様な法案が必要とされるときが来た」と現在6人いる同性愛者の同州上院議員の中の一人、シーラ・キュール議員(サンタモニカ選出・民主党)は言う。「同性愛者たちも恋をし、落ち着いて家庭を持ち、お互いにかかわり合い尊重し合い、自分たちの子どもを育て、そして護っていく。私たちは(異性愛者たちと同様に)善良な市民でいるだろう」と彼女はAP通信社の記事の中で語っている。 ジャッキー・スパイア上院議員(ヒルズボロ選出・民主党)は「今回法案が可決されたのは、間違いなく我々の世代で最も大きな市民権の躍進だ」と断言する。 「(今回の上院での可決で同性愛者たちが平等な権利獲得へと一歩近づき)平等は平等(として喜ぶべき)だ」とリズ・フィゲロア上院議員(サノル選出・民主党)は強調する。AP通信の記事の中で彼女は「この議会を去るときには、私は人々の尊厳と権利のために立ち上がったのだと自分の孫に聴かせてあげられるようになりたい」と話している。 一方で、デニス・ホリングワース上院議員(ラ.メサ選出・共和党)は「より強い勢力」が今回の審議に反対していると主張し、「これは間違ったこと。伝統的な結婚制度と、そしてこの社会を作り出し、今日まで支えてきた全ての価値観や制度を守る義務が我々にはある」と強い反対姿勢をみせた。 「信教の自由と結婚の保護法」と呼ばれる今回の法案は、もともと昨年12月に出されたマーク・レノ下院議員(サンフランシスコ選出・民主党)の提案に始まる。レノ議員もまた、議会では少ない同性愛者の議員の一人。初めの法案は今年6月の下院議会においてわずか4票差で否決されたが、同議員らは諦めずに、今度はすでに州法となっている文章の一部を取り除いたものを初めの法案と入れ替えて提出し、それが今回の法案となった。 この法案は、要約すると「議会法案 第849号は、カリフォルニア州における結婚の再定義を2人の人間が結び付くこととし、当事者の性別は問わないこととする。よって当州では同性間の結婚も容認される。しかし、これは聖職者や宗教官僚に対し連邦法と当州法により保護されている自身の信教の自由を破棄させ、挙式を行うことを強制するものではない」という内容で、同性カップルが結婚する権利と共に、聖職者が同性カップルの挙式を拒否する権利もまた認めている。 「今日という日は、カリフォルニアに住む何千という同性カップルたちにとってのアメリカン・ドリーム実現に向けた大きな一歩を踏み出した記念すべき日。愛する相手と結婚できるというような基本的な人権が擁護されてこそ、ようやくしっかりと安定した社会が築ける。今回、差別に対して戦うために、そして異性間のカップルが当たり前のように持っている結婚をする権利を同性愛者たちが勝ち取るために、全力で取り組んできてくれた私の同僚たちに対する感謝の気持ちで今はいっぱいだ」とレノ議員は声明した。 今回のカリフォルニア州上院の動きに対し、いくつものLGBT団体が賞賛の意を表明した。 ニューヨークの「人権キャンペーン」結婚プロジェクトのセス・キルボーン代表は「もしこの法案が州法として成立すれば、カリフォルニアの全家庭がより安全で安定して暮らせるようになる」と主張し、「今回このような比較的短期間で法案が議論され可決されたということは、この法案成立への機運が今、熟してきているということ」と力説した。 民主党内の同性愛者団体、「ナショナル・ストーンウォール・デモクラッツ」(National Stonewall Democrats) の本部長、エリック・スターン議員は、今回の法案への反対票を投じた共和党議員一人ひとりについて言及しながら、「民主党員たちの今回の働きにより、カリフォルニアの人々にはっきりと勝利がもたらされた」と断言し、「カリフォルニア州において民主党は市民との公約を実現することで、我々の強さを見せつけることができた」と高く評価した。 同性婚法案を支援する団体、「平等を求めるカリフォルニア」(Equality California) のジェフ・コース代表は、これからすぐに法案の議論が始まる下院に現在はロビー活動の焦点を合わせている、と述べた。前回、わずか4票差で法案を否決した下院での来週の投票は今後の法案の行方の鍵をにぎる。 コース代表は法案が上院で可決した1日、「今回とても重要な点は、この法案に対し賛成票を入れた上院議員の選挙区が多くの場合、前回の議会で反対票を投じた下院議員の選挙区と重なっていることだ」と解説した。 同代表は、カリフォルニア州議会にとって9月9日がシュワルツェネッガー州知事への法案提出期限だということについて触れながら、「来週の下院での投票で賛成票を一つでも多く勝ち取るために、我々は昼夜を分かたずに活動するつもりだ」と語った。 今回、上院では一人を除き全ての民主党員が賛成に投じた。しかし、今後もし下院を法案が通過したとしても、その法案に州知事が署名をする保障はどこにもない。シュワルツェネッガー知事は通過した法案に署名するかについては矛盾した発言をしていて、今のところはっきりとはしていない。 「州知事は法案が提出されるまではどんな判断も下さないと言っている。また、同性カップルが結婚することについてかまわない、差別には反対だ、とも言っている。どのような判断を最終的に下すとしても、それは知事の残す遺産の中で非常に大きな部分を占めることになる。知事が後世において人々に、人権獲得のためのこの奮闘の中で正しい側にいた、と語られたいと思っていることを、我々は期待し、また信じている」と、コース代表は最後に述べた。 翻訳&記事の解説:石田 京介
|
||