シュワルツェネッガー州知事、同性婚法案に署名拒否

by 石田

 シュワルツェネッガー米カリフォルニア州知事は9月29日、以前から公言していたとおり9月初めに議会を通過した同性間での結婚を認める法案に対し拒否権を発動した。これにより知事は全米の LGBT 団体から反感を買うことになった。

 共和党のシュワルツェネッガー州知事は、この問題は(立法でなく)法廷の決定か住民投票により決められるべきという自身の考えをくり返し示し、拒否権行使の宣言文の中では「今回の法案は単に憲法問題に混乱を招くだけである。もし同性婚が違憲であればこの法案は必要ではなく、もし同性婚の禁止が合法であればこの法案は無効になる」と述べた。

 議会法案第849号、または「信教の自由と市民の結婚の保護法」として知られるこの法案は9月初めに上院・下院両議会を通過し、全米では初の議会により承認された同性婚法案となった。全米最大の LGBT 政治団体である「人権キャンペーン」は今回の知事の決定を激しく非難した。

 「人権キャンペーン」のジョー・ソルモニーズ代表は予め用意した声明の中で「シュワルツェネッガー州知事の拒否権発動は政治に対する市民の期待を裏切るもの」「何千ものカリフォルニア在住の家族にとっての法の下の平等の実現が知事の署名拒否によって遅れることになる」と批判した。

 「全国レズビアン人権センター」のケイト・ケンデル代表は「ヒーローや勇敢なリーダーになれる絶好の機会だったのに、知事はそれを棒に振ってしまった」と残念そうに語った。

 共和党内の同性愛者団体も同様に今回の法案拒否を受けて深い失望感を表した。

 共和党の同性愛者団体「ログ・キャビン・リパブリカンズ」のパトリック・グエリエロ代表は「我々は知事の言葉をそのまま受け取り、州の裁判所が結婚の平等を認めて議会の決定を支持した際には、知事も法案を支持し応援してくれるものと信じる」と話した。

 サンフランシスコの法廷では今年3月、同性愛者の結婚する権利を支持する判決が下され、その判決は上告されている。この問題は2〜3年後に州最高裁で争われるとみられている。

 一方で、州内の2つの保守系グループは現在、同性婚を禁止するために州憲法を改定し、場合によっては同州のドメスティック・パートナー制度の廃止を求める為の住民投票を2006年に行えるように市民に署名を呼びかけている。

 ケンデル代表は29日の声明の中で、知事に対しドメスティック・パートナー制度への援助を強化するよう強く求めてきたことを公表した。

 「ドメスティック・パートナー制度とその保護に対峙する最近の動きを知事が支持していないことは知っており、また評価もするが、それだけでは十分でない。知事は持てる限りの力を使ってそのような動きにもっと立ち向かっていくべき」と同代表は語った。

 議会法案第849番は LGBT 政治団体「平等を求めるカリフォルニア(Equality California)」のサポートの下、マーク・レノ下院議員(サンフランシスコ選出・民主党)により提出された。

翻訳&記事の解説:石田 京介
(石田 京介:カナダ在住/翻訳スタッフ)

 

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