「ブロークバック・マウンテン」 by 石田 |
||
1月16日夜、ゴールデングローブ賞授賞式が米国ロサンゼルスで行われ、評論家の間でも評価の高かった、恋に落ちた2人のカウボーイを描いた映画「ブロークバック・マウンテン」が、作品賞(ドラマ部門)と監督賞を含む4部門で選出され、最多受賞を果たした。 アン・リー監督の受賞に加え、「ブロークバック〜」に対して授与された賞として、ラリー.マクマトリー氏とディアナ・オッサーナ氏へ贈られた最優秀脚本賞と「ア・ラブ・ザット・ウィル・ネバー・グロウ・オールド」へ贈られた最優秀歌曲賞が含まれた。また「ブロークバック〜」に関しては、最優秀男優賞(ヒース・レジャー)と最優秀助演女優賞(ミッシェル・ウィリアムズ)、最優秀作曲賞(グスタヴォ・サンタオライヤ)も同時にノミネートされていた。 ゴールデングローブ賞は映画、またはテレビの優れた作品を称えるためにハリウッド外国人映画記者協会により発表されるもので、近年ではその年のアカデミー賞の行方を示唆すると一般的に見なされている。 今回は他にも2つの賞が、LGBTのキャラクター役の革新的演技に対して授与された。映画「カポーティ」の中で人生の転機を迎えたゲイの小説家、トルーマン・カポーティを演じたフィリップ・シーモア・ホフマンと、映画「トランスアメリカ」の中で自分の息子と再会し新たな生活を始めるトランス・ジェンダーの女性を演じたフェリシティー・ホフマンの2人である。 また、俳優ネイサン・レイン(「プロデューサーズ」)、女優シンシア・ニクソン(TVミニシリーズ「ウォーム・スプリングス」)、脚本家トニー・クシュナー(「ミュンヘン」の共同映画脚本家として)を含む何名かのLGBTの役者やアーティストも今回のゴールデングローブ賞にノミネートされていた。 「中傷と戦うゲイ・レズビアン同盟 (GLAAD) 」は16日夜、即座に受賞者たちに賞賛の言葉を贈った。 「これは、どんどん項目が増えている、『ブロークバック・マウンテン』が達成してきた業績リストに、さらに加えられるべきもう一つの勝利だ。他の評論家同様、ハリウッド外国人映画記者協会も、この映画のもつ感情に訴える迫真性と、同性愛者と異性愛者を等しくつなぐことのできる力を認めたのだ。『ブロークバック・マウンテン』や『カポーティ』、『トランスアメリカ』といった映画の、表彰も受けるほどの今回の重大な成功は、このような洗練された包含的な映画の需要があるということを明確にハリウッドに対し示している」とネイル・G・ジュリアーノ、GLAAD代表は語った。 「ブロークバック・マウンテン」は、それぞれに結婚生活があるにもかかわらず何十年にもわたりお互いに惹かれあってしまう二人の男性を描いており、そのためにフォードやマイクロソフトといった同性愛者を支持する企業を近年非難していた右翼団体からちょっとした物議を醸した。 昨年12月に「ブロークバック・マウンテン」が封を切られた際には、2005年に上演された映画の中で最も多い1回あたりの入場客数をたたき出した。 アカデミー賞へのノミネート作品は1月31日に発表される予定になっており、授賞式典は3月5日にハリウッドで開催される。
翻訳&記事の解説:石田 京介
|
||