「ブロークバック」が中国語に認められる

by ワタル

 「ブロークバック」(Brokeback)という言葉が広東語の語彙として認められ始めている。「ドゥンブイ」と訳されており、ゲイ、または非伝統的な関係を表す言葉として香港の新聞や広告で使用されるようになった。

 映画「ブロークバック・マウンテン」は公的には中国で上映禁止となったが、旧イギリス領だった香港では許可されている。また、同映画のDVD(ほとんどが違法コピー)が国中で出回っている。

 最近では、Ming Pao Daily(明報新聞)が、男性ポップスターのレオ・クーとジャスティン・ローが、コンサートで手を繋いだことを「ブロークバック・スタイル」と報じた。

 しかし、「ドゥンブイ」は、別の類いの二人を表すのにも用いられている。Apple Daily (蘋果日報)は、政党結成を阻まれた二人の政治家のことを「明らかにブロークバック・カップル」と呼んだ。

 彼らがゲイであるとほのめかしているわけではないが、この言葉が、映画においてゲイの登場人物が社会的慣習を避けることができなかったことを示唆し、使われている。

 広東語は、俗語も含めてさまざまな西欧言語を取り入れ、中国ではもっとも進歩的な言語と言われている。広東語が「ブロークバック」という言葉を採用したことは、この言葉が世界で始めて別の言語に取り入れられたことを意味している。

 

 

 これがポジティブなステップと言えるのか、香港のゲイの間でも意見が分かれている。

 アクティビストのチョウ・マンキットさんは、この言葉の使用が同性愛について議論するキッカケを与えてくれたと話す。

 「多くの人が、抑制されることなく同性愛問題について議論できる手段を望んでいたのですが、今までその手段がなかったのです。“ブロークバック”が現れたことで、ゲイについて語ろうという熱烈な想いが広がりました」。

 しかし、別のアクティビスト、ロディ・ショーさんは、「軽蔑的な言葉に成り下がってしまった」と反論する。

 

 

 香港政府には、性的指向を人権法に含めるよう、一年以上前から圧力がかけられている。

 先月、2人の国会議員が、政府は世論調査の影に隠れLGBTに対する反差別法案を通すのをためらっていると非難した。調査ではほとんどの人が、法律を修正して性的指向による差別を禁止することは「必要ない」としている。

 昨年5月、監視機関の人権局は、香港政府の対応の遅さを厳しく非難した。

 「香港人権モニター」が政府に出した報告書では、香港の状況は世界の他の国々に遅れをとっているとしている。

 このレポートが出されたのは、香港で最初の同性愛者の人権を求めるデモが行われて(2005年5月16日)から一週間足らずのことであった。

 

翻訳&記事の解説:ワタル
(ワタル:東京都在住/翻訳スタッフ)

 

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