7月3日(火)11時より、東京地方裁判所第606号法廷で、シェイダさん在留権裁判第5回口頭弁論が行われました。2000年7月にシェイダさんの難民認定が却下されてから1周年を迎える今回の法廷ですが、シェイダさんは以前から申請していた仮放免(仮の釈放)が6月に不許可となり、今回も「主役」不在の法廷となってしまいました。酷暑にも関わらず、約20名の方が傍聴に参加してくれました。
(読んでびっくり法務省の主張)
今回の法廷では、前回シェイダさん側が提出していた書面に対する法務省側の反論の書面が提出されました。
前回のシェイダさんの書面は、50ページにわたって、イランの同性愛者迫害の現状や、日本の難民認定制度の問題点を示したものですが、法務省の書面は全部で5ページ。その内容には、一瞬目を疑います。
○難民条約(日本も加盟)は難民認定の手続のしかたについて決めていない
→難民認定の手続については、各国が勝手に決めることができる
→日本の難民認定制度が、国連の難民に関する機関が示すガイドラインを無視したり、諸外国で標準的に行われている方法から逸脱したものであっても構わない。
これでは、等しく迫害にさらされている人でも、カナダやニュージーランドに行けば難民として扱われるが、日本に来たら強制送還されるなどといったことになってしまいます。そもそも難民条約は、そんな事態を防ぎ、加盟国が難民問題に対して平等に責任を果たすことを目的として作られたものなのであって、法務省の主張は「木を見て森を見ず」、といわざるをえません。
(裁判は折り返し点に)
さて、裁判長からは、「そろそろ論点も出そろいつつありますね。次回の法廷では、人証(原告や証人が法廷で証言する)なども含めて、今後どのようにやっていくか考えましょう」という言葉があり、シェイダさん在留権裁判も、書面のやりとりの段階を終え、証人による証言などの段階にさしかかっていることがわかりました。
法廷は全体で10分程度。次回期日を8月28日(火)10時〜と決め、終了しました。法廷終了後、弁護士会館502号室にて報告集会を開催。参加者の皆さんからは活発な質問が交わされました。
次回法廷では、今後のシェイダさん側・法務省側の立証計画が示され、いよいよ証人尋問の段階にさしかかることになります。ぜひとも傍聴のほどお願い申しあげます。
<シェイダさん在留権裁判 第6回口頭弁論>
日時 2001年8月28日(火)10時〜10時30分
場所 東京地方裁判所 第606号法廷(営団地下鉄霞ヶ関駅下車3分)
<第6回口頭弁論報告集会>
日時:2001年8月28日(火)10時30分〜12時
場所 弁護士会館5Fを予定
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