<エグテダーリ氏からの陳述書:ぎりぎりセーフ>
7月18日の裁判で、市村裁判長はシェイダさん側・法務省側の両者それぞれに対し、持てる全ての証拠を出し切るように指示しました。法務省側は以前から、「外務省と連携して調査を行っている」と言っていたので、裁判長はその調査結果を次回の法廷までに出すように指示。また、シェイダさん側に対しては、シェイダさん側が証人申請している在米イラン人人権活動家・ゴウダルズ・エグテダーリ氏に関して、前回法務省が出した証拠への反論も含め、本人の陳述書など何らかの者を提出するように指示しました。
シェイダさん側はその後、さっそくエグテダーリ氏と連絡をとりましたが、待てどもエグテダーリ氏からの返事は来ず。8月末になって業を煮やした頃に、「夏休みだった。今、夏休み明けで忙しいが、何とか書面を作成してみる」という前向きの返事が、突然飛び込んできました。
シェイダさん側としては、すぐにエグテダーリ氏に、書いてほしい書面の内容を伝えました。1週間後、裁判の日の前日に、エグテダーリ氏から「短期間でやれるだけのことをやった」というメッセージと共に陳述書が届いていました。さっそく裁判の日の午前中に超スピードで翻訳を上げ、法廷では「このように、書面はすでに手に入っています。あとは翻訳を校正すればいいだけです」と裁判長にアピールすることが出来ました。
<失意の表情:法務省>
一方、法務省側はというと、市村裁判長に「何か提出するものはありますか?」と問われ、「いいえ、何もありません。調査結果も何も来ていません。来ないことを前提に進めていただくしかありません」と、担当官が失意の面持ちで答弁。この対応には、こちらも非常に驚きました。こちらとしては、当然、前回法務省が提出した証拠について「それをもって何を立証したいのか」を説明する準備書面のひとつくらいは出るだろうと思っていたからです。いったい、法務省のこの消極的な姿勢は何を意味するのでしょうか。このままでも「勝てる」と踏んでいるのか、難民制度の変更などをにらんで、音無しの構えをとっているのか、それとも、シェイダさん裁判については、もう「投げて」いるのか……?
市村裁判長は法務省の態度を見てとった上でシェイダさん側の大橋弁護士に「外国の判例とか、もっとないのですか?イランで処刑がある、ということはわかりました。問題はその処刑がごく例外的なことなのか、一般的に行われているということなのか、ということです。それで、外国で難民として認められている事案について、外国の裁判所が、どんな理由で難民と認めているのかということをもっと知りたいのです」と水を向けてきました。
このコメントは、両刃の剣とも言えますが、裁判長が、シェイダさんを「難民」と認める可能性も含め、事実を事実としてきちんと認識した上で判決を出そうという態度をとろうとしていると判断できます。その意味では、評価できるコメントといえるのではないかと考えられます。
こんなやりとりもありましたが、この日の法廷は法務省側が何も言ってこなかったこともあってそそくさと終了しました。
<傍聴の皆さん、ありがとうございます>
米国同時多発テロから1周年のこの日。こちらとしては、何人の人が傍聴に来てくれるだろう……とちょっと心配でしたが、20名を越える傍聴者が来てくれました。報告集会では、昨年のあの日ニューヨークで事件に遭遇したという人から、「今年、法廷でシェイダさんを支援することができて、自分もあの事件を越えて何かに取り組んでいるのだという気がしている」というコメントもありました。シェイダさんの裁判も、ひろく世界の状況とつながっているのだということが、改めて認識できました。次回は、ちょうど1ヶ月後の10月11日(金)午前11時から。今後とも、多くの方に傍聴に来ていただけることを期待しております。
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シェイダさん在留権裁判 第13回口頭弁論 ■□■
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○日時:2002年10月11日 午前11時〜
○場所:東京地方裁判所6階606号法廷
(営団地下鉄霞ヶ関駅下車徒歩3分)
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第13回口頭弁論報告集会 ■□■
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○日時:2002年10月11日 11時30分〜
○場所:弁護士会館5F507AB会議室
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