11月15日(金)午後1時30分より、シェイダさん裁判の第14回口頭弁論が、東京地方裁判所第606号法廷で開かれました。
この法廷の課題は、以下のようなことでした。
○裁判所として、シェイダさん側が証人として申請しているグダーズ・エグテダーリ氏(イランの人権活動家)を採用するかどうかを決める。
○同性愛者が「特定の社会的集団」であるか、また、イランで行われている「石打ち刑」などの処刑方法が、拷問等禁止条約にいうところの「拷問」にあたるかどうか、法務省側が主張を出す。
○判決に向けた今後の日程・見通しを定める。
○前回法務省が提出した証拠資料(第44号参照)に対するシェイダさん側の反論を提出する。
これらのことについて、今回、まさに「山が動いた」といえるような大きな判断がされました。以下、見ていきましょう。
<<<エグテダーリ氏が証人として採用される!!>>>
この法廷で決まった、一番大きいことは、なんと言っても証人の採用でしょう。
シェイダさん側は、前回の法廷の後、エグテダーリ氏に連絡を取り、エグテダーリ氏からスケジュールを聞いて市村裁判長に伝えておきました。エグテダーリ氏は、1月中は外国におり、証人尋問のための来日の予定はとれないということで、2月15日以降なら可能だということでした。
裁判長は、「裁判所としては、証人申請を前向きに考えていますから。ただ、直前になって日程を決めるというのも、先方の都合もあることですので、今決めてしまいましょう」と言い、証人尋問の日程を2月18日(火)午後1時から4時、と定めました。
のちにエグテダーリ氏に確認したところ、18日は日本に来ることができる、ということでしたので、この日は証人尋問ということで確定です。
エグテダーリ氏は、米国にある「イラン人権ワーキンググループ」(Iranian Human Rigths Working Group:
IHRWG)のボードメンバーで、自身はゲイではありませんが、イラン・イスラーム共和国の死刑の問題について調べているうちに、「姦通」(婚姻外の性行為)と同性間性行為に関する処刑の問題に行き当たり、長い論文をまとめた人物です。1990年にイランを出国、現在は米国オレゴン州のポートランド大学において、システム工学の研究を行うかたわら、イランの人権状況についての調査研究を続けています。
私たちは、エグテダーリ氏の証人尋問によって、イランの同性愛者がおかれている社会的な迫害と国家的な迫害の関連性などについて、具体的にはっきりさせていこうと考えています。
<<<証拠資料等について>>>
前回の法廷で法務省は、(1)先進国における同性愛者の難民認定に関する状況、(2)「イスラーム教国」における同性愛者の迫害の状況、および(3)イランにおける同性愛者の迫害の状況について、「外務省からの情報に基づいて作成した」と称して、3枚の証拠資料を提出しました。この証拠の問題点は本ニュースアップデイト前号に示しましたが、(1)については、米国など同性愛者の難民を積極的に受け入れている国を除外する、(2)については、世俗主義体制をとる国の状況を多く紹介し、イスラーム法に基づく体制をとっている国についてはほとんど紹介していない、また、いずれの証拠についても、出典が全く示されていない、など、著しく欠陥の多い証拠資料でした。
これらについて、シェイダさん側はこれらの証拠の欠陥や内容的な矛盾などを全面的に指摘する書面を作成、提出しました。また、前回の法廷で指摘されていた「特定の社会的集団」についても、シェイダさん側はヨーロッパ評議会(CoE=欧州43ヶ国が加盟する国際機関で、欧州人権裁判所などが付属し、主に人権関係について取り組んでいる)の報告書を証拠として提出。
一方、法務省側は、前回裁判所に提出を要求されていた「特定の社会的集団」に関する見解、および「拷問等禁止条約」に関する見解について、いずれも次回以降に先送りすることを表明。裁判所側は、これらの点について法務省の見解を待たなければ、裁判を終わらせることはできない、と述べ、証人尋問以外に、一般の法廷(第15回口頭弁論)を次回12月20日(金)午後4時30分から入れることになりました。
<<<エグテダーリ氏の招請にご協力を!!!>>>
上記のように、今回の法廷では非常に大きなことが決まりました。エグテダーリ氏の証人尋問です。
エグテダーリ氏は在米の人権活動家で、2月18日にアメリカから呼ばなければなりません。交通費・宿泊費など、いろいろな経費がかかります。
当方としては、エグテダーリ氏招請に関しては、4〜5日を考えており、滞在中に人権関係の団体などとともに集会を開催するなどして交流企画をもちたいと考えています。
経費の面、エグテダーリ氏の案内・アテンドの面など、招へい企画には多くの方々の支援が必要です。ぜひとも、カンパおよびボランティアでの協力をお願いいたします。
近日中に「エグテダーリ氏招へいキャンペーン」を呼びかけさせていただくことになります。まずはカンパについてですが、可能な方、ぜひとも以下の口座によろしくお願いいたします。
○●○在米イラン人人権活動家エグテダーリ氏から話を聞こう!!キャンペーン○●○
・目標金額:合計40万円
・口座名義:シェイダ基金
・口座番号:郵便振替口座 00100-2-554626
では、エグテダーリ氏招請へのご協力、是非ともよろしくお願いいたします!!!
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シェイダさん在留権裁判 第15回口頭弁論 ■□■
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●日時:2002年12月20日(金)午後4時30分〜(4時集合)
●場所:東京地方裁判所第606号法廷
(営団地下鉄霞ヶ関駅下車徒歩3分)
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第14回口頭弁論 報告集会 ■□■
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●日時:2002年12月20日(金)午後5時〜
●場所:弁護士会館を予定
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