18日午後2時。いよいよ、エグテダーリ氏尋問の法廷が幕を開けました。
606号法廷は42席しか座席がありませんが、傍聴に参加するために詰めかけた人々はおよそ80人。チームSでは、主尋問と反対尋問で入れ替えを実施するほか、定期的に法廷の様子を控え室に伝えるスタッフを配置するなどの対応をとりました。その結果、多くの人に傍聴の機会があったと思っていますが、その一方、傍聴できなかった人もいたかも知れません。(ごめんなさい!!ニュースアップデイトでなるべく早く、尋問の記録を公開いたしますので今しばらくお待ち下さい)
法廷では、エグテダーリ氏が宣誓を行ったのち、尋問が開始されました。シェイダさん側の主任弁護人・大橋先生の冷静な質問に対して、エグテダーリ氏の答えは、つねに多くの情報を含みつつ、かつ明晰なものでした。エグテダーリ氏の主な証言ポイントは以下のことです。
○イランにおいては、女性や少数民族、宗教的少数派の人権問題については、資料が豊富にあり、人権活動家も存在している。ところが、同性愛者の場合は、あまりに抑圧が厳しいので、イラン国内で同性愛者の問題を語ることのできる当事者がいない。また、イランからの亡命者から話を聞いても、イランの同性愛者の状況についての情報は全く得られない。
○イランの改革派ハータミー政権は、同性愛者に対するイランのこれまでの態度を変えることはできない。その理由は、ハータミー大統領がイランの司法府に対する権限を一切持っていないことと、ハータミー自身がイスラーム法学者であり、シャリーア(イスラーム法)において固定刑(ハッド)として定められている「ソドミー行為に対する処罰」について見直しをする立場に立つことができないということである。
○イラン・イスラーム刑法の規定では、同性間性行為の事実を認定するのに4人の男性の証言が必要であるため、犯罪の認定と処刑はきわめて難しいという主張は誤っている。イラン刑法には、4人の男性の証言以外に、本人の4回の自白、もしくは、裁判官が慣習的に正しいとされる方法によって犯罪の事実を認定し、有罪を宣告することができる(刑法120条)。これらから考えれば、同性間性行為によって人を処罰するのは著しく容易である。
○シャリーア(イスラーム法)は属人法であり、イスラーム教徒個々人がシャリーアが守られる社会を作るために社会に介入することが認められている。その結果、同性間性行為を行った人間に対して私的制裁が加えられても、それは国によって取り締まられることはないというのが現状である。
○同性愛者の人権を認めさせる活動をしている同性愛者は、刑法違反だけでなく、反体制派として当局による迫害を受ける可能性が高い。シェイダさんが属している「ホーマン」は、イランの憲法を変えることを綱領に掲げており、当然、反体制派として認識されている。
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