チームS:シェイダさん救援グループ 2004/04/18 up
 
最近のシェイダさんの状況:元気でやってます

 皆さまこんにちは。2月25日の「第1審判決」以降、ニュースアップデイトの発行が遅れて申し訳ありませんでした。近況や今後の支援運動の方向性についてどうなっているのだろうと疑問を持たれた方も多いかと思います。以下、最近の状況について短信します。

■収容はされず:3月のシェイダさん
 「敗訴判決」で、短期的に一番心配だったのが「収容」です。近年、入管当局の凶暴化はますます深刻になっており、UNHCRの事実上のマンデート難民に指定されていた人でも、敗訴判決後収容されるなどのケースも若干、存在しています。シェイダさんも、「大丈夫大丈夫」といいつつも、収容の危険についてかなり心配していました。
 法務省が「収容」を決めてしまえば、私たちにはどうすることもできません。チームSとしては、シェイダさんの仮放免の更新については、東京入国管理局に同行して見届ける、というのが精一杯でした。
 3月明けて最初の出頭日、シェイダさんの仮放免が更新されず、仮放免が認められた最後の日に再度出頭するように命じられました。これは収容の可能性もあるかな、と思ったのですが、控訴をした上で、控訴したことを証明する書類を持って再びシェイダさんが出頭した際には、仮放免は更新され、なんとか収容という事態は避けられました。今後も、1ヶ月に1回、出頭しなければならない状態は続きますが、収容に関しては当面は安心できそうです。

■第2審に控訴
 2月25日の判決ののち、2週間以内の控訴が必要とされます。シェイダさんは当然、不当判決をひっくり返すべく東京高裁に控訴手続きをとりました。
 しかし、東京地裁と東京高裁での難民に関する判例を見れば一目瞭然ですが、東京高裁の裁判官のほとんどは、シェイダさんに不当判決を出した市村裁判長よりも、もっと保守的な立場をとっています。この点に鑑みれば、東京高裁で逆転勝訴が出る可能性は極めて低いと言わざるを得ません。
 これ以上裁判を続けて、日本に長居をしても、結局のところシェイダさんの貴重な人生の時間を無駄に費やすばかり、という結果になる可能性が高いと言えます。第3国出国への道が開かれることが求められるところですが、こちらも難しいのが現実です。

■難民不認定の決定下りる
 判決後の1ヶ月半の中で、同性愛者全体にとって大きな問題になりそうなことが一つありました。
 シェイダさんは2000年7月に難民不認定処分を喰らい、11月に異議申立が却下された後、再度難民申請を行っていました。これについて、判決までは決定がおりませんでしたが、3月25日、決定が下されました。結果は予想通り、不認定でした。
 そこで一つ問題がありました。不認定の決定に以下のようなことが明記されていた
のです。

↓↓↓↓↓ここから↓↓↓↓↓
「あなたは、『宗教』、『政治的意見』および『その他(同性愛者)』を理由とした迫害を受けるおそれがあると申し立てています。
 しかしながら、
(1)同性愛者が難民条約上の『特定の社会的集団』に該当するものとはいえないこと
(2)あなたが同性愛者であるというだけでは、イランにおいて、難民条約上の『迫害を受ける恐れがあるという十分に理由のある恐怖』を有する客観的事情が存在するとは認められないこと等からすると、申立を裏付けるに足りる十分な証拠があるとは認めがたく、難民の地位に関する条約第1条A(2)及び難民の地位に関する議定書第1条2に規定する難民とは認められません。
 また、あなたの難民認定申請は、出入国管理及び難民認定法第61条の2第2項所定の期間を経過してなされたものであり、かつ、同項ただし書の規定を適用すべき事情も認められません。」
↑↑↑↑↑ここまで↑↑↑↑↑

 この決定文で重要なのは、「同性愛者は難民条約上の『特定の社会的集団』ではない」と、なんの根拠もなく決めつけていることです。これだと、同性愛者はどんな迫害を受けようとも、難民条約上の「難民」として認められない、ということになってしまいます。
 これは、シェイダさんだけでなく、すべての同性愛者にとって大きな問題です。法務省のこの認識を変えるための取り組みが必要です。この取り組みについては、今後、また提起したいと思います。

■元気なシェイダさん:とりあえず、何とかやって行けそうです
 上記のように、敗訴後もやっかいなことが続いているシェイダさんの身辺ですが、シェイダさん自身は非常に元気で日々を過ごしています。いろいろとややこしいことを言ったりもしますが、ミーティングでも明るく(?)自己主張するシェイダさんを見ていると、とりあえず元気で収容もされておらず、敗訴はしたものの、最悪の状況というわけではない現状にほっとするところです。
 今後の見通しは決して明るいものではありませんが、なんとか、よい将来を切り開いていこうと考えているところです。皆さま、引き続きご支援をお願いいたします。具体的な運動については、また今後提起させていただくかと思います。