Q2■同性愛の人たちのことは何と呼べばよいのですか?

 男性同性愛者のことは「ゲイ」、女性同性愛者のことは「レズビアン」と呼んでください。
 社会から「少数派」と見なされる人には名前が付けられ、さまざまなレッテルが貼られ、歪んだイメージが形成されていくことがあります。同性を恋愛・性欲の対象にする人たちに対しても、さまざまな呼ばれ方がされてきました。したがって、同性を好きになることを自覚した人は、自分を理解し認識していく過程で、まず社会が貼ったレッテルで自己認識せざるを得ません。現代の日本で言えば、メディアが使っている「ホモ」「レズ」「オカマ」「オネエ」などがそれに当たるでしょう。
 オネエ系とされるタレントと、罰ゲームでキスをする場面がいまだにテレビで見られますが、視聴者の中には「オネエ系=(男性)同性愛者」と安易に捉える人もいます。そして、そこでは「笑い」が起こるよう演出されていることが多いのも特徴です。オネエなどの言葉で表現される人が出てきたら、「笑っていい」という合意が送り手と受け手の間に成立してしまうのです。それは幼稚園の子どもでさえ、誰かをからかい嘲笑するときの言葉として使っているほど浸透していきます。絶えず、こうした言葉でからかわれ心に傷を負う人が再生産されているのです。
 より広範囲の人々が自分の性のありようを受容していくためには、肯定的な呼び名は不可欠になります。同性を恋愛・性欲の対象にする人たちは、自分で自分たちをどう呼ぶかを決めることから社会に自分たちの存在を受け入れさせる動きを開始しました。その中で「ゲイ」「レズビアン」という言葉が自称として使われるようになっていったのです。「ゲイ」「レズビアン」という言葉があるのに、人を傷つける可能性のある「ホモ」「レズ」「オカマ」「オネエ」をわざわざ使うならば、意図的に否定的なニュアンスを入れた、と捉えられてしまうかもしれません。特にメディアが表現するときには十分な配慮が必要だということになります。(注)
より人に優しい言葉を使い、人に不快感を与える可能性が高い言葉は、フェイドアウトさせていくのが「共生」時代のマナーです。 なお、「オカマ」「オネエ」は、ゲイ男性ばかりではなく、「男らしく」ない男性一般に対する蔑称として広く使われています。したがって、「オネエ系タレント」の中には、トランスジェンダーと表現した方がいい(自分で決めるものですが)と思われる方も多くいます。これは、「男らしさ」(ジェンダー)の中に「異性を愛すること」という条項も強力に入っており、異性愛であることを強制する力が巨大であることをも意味しています。

★注当事者同士で使う「ホモ」「レズ」 当事者の中には、仲間内で話す際に、「ホモ」や「レズ」といった言葉を使う人もいます。自虐的な意味で使うこともありますし、仲間という感覚を覚えるのに便利な言葉としても使われます。しかし、これらの言葉は信頼関係があってこそだと思います。その言葉の重さを知っている人だから(状況によって)使える言葉であって、当事者が使っているからといって安易に使わない方が無難でしょう。