カナダ下院は17日、同性愛者に対する差別的発言を違法とする法案を可決した。
カナダ新民主党の議員で、カナダ議会で最初に自分はゲイであるとカミングアウトしたスヴェント・ロビンソン氏は、ラジオ・テレビ・出版物、そして発言の中で、少数者に対する憎悪的または差別的な発言を禁止する、反差別法の改正案を提出した。今までの法律に、性的指向による差別を追加しようとするもので、下院を通過して法律に明記されることになる。
カナダ議会では9月16日に、カナダ連合党が提出した「婚姻は男女にのみ成立する」という決議を反対137、賛成132で退けた(※)。2日連続で同性愛者を擁護する結論を下した事になる。
17日の投票は、前日よりも擁護的で賛成141、反対110で可決された。
今まで同性愛者に対する暴力は通常の犯罪として扱われ、反差別法にはそのような暴力を「憎悪犯罪」として禁止する項目はなかった。
ロビンソン氏は17日の議会で次のように発言した。
「私たち同性愛者の差別を禁止する項目が反差別法に明記されていないということは、我々の存在は軽視されているのだ。もし、人種、肌の色、出身、宗教等の違いでの憎悪や暴力が禁止されるのであれば、我々に対するバッシングや憎悪や暴力も当然のように禁止されるべきである」
しかしながら、同性婚の問題の時もそうであったように、数多くの保守的な宗教団体がロビンソン氏の案に反対している。
メルキトカトリック教会の司教で、レバノン系カナダ人のフランソワ・ベイルーチ氏は「カナダ国民は、大事な自分たちの国が宗教的に迫害される時代に突入しつつあると思っている」と、案が可決される前の記者会見で話した。
カナダのとある保守的組織の傘下のグループは、一面の新聞広告を出し、口をテープで塞がれた家族の絵を掲載し、ロビンソン氏の案は聖書さえ違法にしかねないと警告した。
しかしながら、ロビンソン氏はこのような保守的なグループの行動を「恐怖をばらまく行為」だとして批判した。
「故意にゲイやレズビアンに対する暴力や憎悪を勧めるために、聖書を勝手に解釈して実際に犯罪に導くなんてことを、一体誰がどのようにして考えるのか?」ロビンソン氏はこのように付け加えた。
※本日同時にアップしたニュース「カナダの同性婚法、成立に向け難局つづく」をご参照ください。
翻訳&記事の解説:タカユキ
(タカユキ:神奈川県在住/翻訳スタッフ)
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