米東部マサチューセッツ州の最高裁は4日、州上院へ勧告する形で、「同性婚を禁じるのは州憲法違反」とした昨年11月の判決に関して、判決は、結婚した場合と同じ権限を保障する「シビル・ユニオン(市民契約)」方式では不十分で、異性間の場合とまったく同様に「結婚」を認めることだ、とする付帯意見を公表した。11月の判決は180日以内の「適切な解決策」を求めており、5月半ばまでに米国初の「同性愛者の正式な結婚」が実現しそうだ。
これは、州上院が、先の判決は「シビル・ユニオン方式なら違憲ではないという判断か」とただしたことに対して、州最高裁が答えたもの。「シビル・ユニオン」(市民間の契約による結合を意味する)方式は、99年にフランスで成立した「パックス」(同じ意味)を参考にして作られたもので、同性のカップルにも異性の結婚の場合と同じように、年金や遺産の相続、税制上の優遇などを認める。米国では2000年にバーモント州でシビル・ユニオン法が制定され、事実上の同性婚を認めているが、あくまで「婚姻」とは別の契約だと捉えられている。
今回の判断はこれより一歩進んで米国で初めて「結婚」を認める内容。勧告では、「婚姻法が特定の市民を差別する合理的理由など全く見当たらず」、「婚姻を認めない法律は州の憲法に違反する」と再度判決を具体的に確認している。
州議会には反対も根強く、州憲法の方を変えて、「結婚は異性間に限る」と明記しようという勢力の働きかけで、近く議会で憲法改正が協議されることになっている。しかし、議会を通っても、憲法改正は住民投票(連邦議会選挙と同時に行われる)にかける必要があるため、180日以内には実現できない。したがって、それに先立って、5月に同性婚が認められることになる。
今回の勧告に対して、米国のLG団体はこぞって歓迎の意を示している。
米大統領選では同性愛者の権利をどこまで認めるかが焦点の一つとなっており、ブッシュ大統領は1月の所信表明(一般教書)演説でも同性婚を認めないと確認、同性婚を明確に禁じるよう連邦憲法を変える可能性も示唆した。今回の州最高裁の判断はこうした判断に真っ向から異議を唱えた形となる。民主党の大統領選候補者指名争いでトップを走る同州選出のケリー上院議員は、同性愛への批判が強いカトリック教徒で、同性婚には反対し「シビル・ユニオン」方式を支持している。
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