ゲイの王子様が主人公の絵本
米ノースカロライナ州の小学校で
図書館から排除される

 ゲイの王子様が同性のパートナーを探し当てる、という絵本が小学校においてあったことに対して親が抗議した事件[詳細はこちらから]は、思わぬ展開を見せている。

 米国ノースカロライナ州・ウィルミントンの小学校に、“King & King”という人気のある絵本(出版社は「テン・スピードプレス」)が置いてあった。それを知った両親が「私たちの信仰に反する同性愛に関することを、子どもに読ませるのは認められない」として、3月中旬、学区の審理委員会に申し立てをした。書面提出時には、別の両親も加わって、2組の両親が行った。

 エリザベス・ミアーズ校長は、「ここは多様性に富んだ学校です。ある家族にとっては不適切なことでも、別の家族にとっては完全に受け入れられることもあるのです」と受容的な姿勢をとっていた。

 ところが、ウィルミントン学区の審理委員会は、3月26日、8対3で、この絵本を小学校の図書館から移し、カギをかけてしまい込むように命じることを決定した。ただし、子どもに読ませたいと思う両親に対しては、利用できるようにとも付け加えた。委員のひとり、オードリー・スタンリーは、「ノースカロライナでは同性婚は違法なことも考慮して反対した」と述べた。

 これに対して、ウィルミントンのLGからは大きな反発が起こっており、どんな対抗措置をとるかが検討されている。

 また、一般の親からも、今回の決定が行き過ぎではないか、という声が上がっている。母親であるヘザー・ストーカーさんは、「この本は、多様性の理解を大いに進めると思います。それに、この本の焦点は、同性愛ではなく、王子と王子の愛そのものにあります。そうした愛情が存在することを子どもたちにはっきりと示すのは、私の義務ではないかとさえ感じます。賛成・反対とか善悪の問題ではありません。人はいろいろ違っている、ということです」と述べている。


訳&記事の解説:伊藤

 

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