ニューヨーク州判事によって同性婚の恒久的な差し止め命令を受けた数日後、同州ニューポルツ村のジェイソン・ウェスト村長(26歳、緑の党)は、木曜日(6月10日)に法廷での勝利を納めた。
彼は今年2月にニューポルツ・ビレッジホールの前で、20組を超える同性カップルの結婚式を許可証のないまま執り行い(こちらを参照)、同州ウルスター郡のドナルド・ウィリアムズ地方検事により19件の州法違反容疑で告訴されていた(こちらを参照)が、今回この件での彼の刑事責任が免責されたのだ。有罪判決を受けていた場合、最高1年の禁固の刑を言い渡される可能性もあった。
しかし、ウェスト氏は一向に心配する素振りも見せずに、「今回の件は法定速度を30キロオーバーで運転していたのと同じような軽犯罪で、よって軽い罰則ですむだろう」と、3月の「人権キャンペーン(Human
Rights Campaign)」晩餐会の席で記者らに語っていた。
だが、10日の判事による判決は重大な意味を含む可能性もある。ニューポルツ町裁判所、ジョナサン・カッツ判事は、地方検事が州の同性結婚禁止に対する合法性を示しておらず、また、起訴者側が示したウェスト村長を告訴したことへの法的根拠も不十分であるとした。そして判決の中で、ウェスト村長による法律違反行為の疑いを晴らしただけでなく、同性結婚に関する強い意見を述べたのだ。
「たとえ、同性婚には至らないまでも、何らかの包括的な方法によって、財産権など財政的な問題が処理できたとしても、感情的にはまだまだ結婚の代わりとはなりえないだろう」と、カッツ判事は語る。
「我々の偏見を土台に法の原則を作り上げぬよう、我々は絶えず注意しなければいけない」と、判事は裁決を下した。
ウェスト村長の弁護士、E.ジョシュア・ローゼンクランツ氏は、今回の決定が「ニューヨーク州におけるゲイとレズビアンの人々の完全な平等な権利の獲得へ向けた、公式的な初めの一歩となります。裁判所は、同性カップルたちが、いくつか同じ権利を持てるというのでもなく、露骨な差別からわずかに法的保護を受けるというわけでもなく、法的見地から完全に平等な権利があることを認めました」とし、
「同性カップルに対して、他のどの市民とも同等な、権利、社会的な地位、そして人としての尊厳があることが裁判で認められたのは、ニューヨーク州では初めてです」と、彼は続けた。
「もし歴史が示すことが正しければ、これは、ニューヨークにおける、もはや止めることの出来ない流れの始まりなのです」と、ローゼンクランツ氏は結んだ。
「ニューポルツの裁判所は、この問題の答えを深く探求してきた者であれば誰しもが真実であると知っていることを目の当たりにしたのです。つまり、同性カップルたちから結婚を奪う正当な理由など存在しない、ということです」と、「全米市民自由連合(ACLU)」のレズビアン&ゲイ人権プロジェクト(Lesbian
and Gay Rights Project)訴訟担当ディレクター、ジェームズ・エセックス氏は語る。
「ニューヨークと全世界のLGBTの人々、そしてもちろん、公平性について真剣に考える全ての人が、この酷い不公平さに立ち向かう勇気をくれたジェイソン・ウェスト氏から恩義を受けたのです」。
だが、ウィリアム地方検事は今回の件を上告をするつもりであるという。
この春に他の判事から受けた一時的勧告が、今週初めに恒久的なものとなり、ウェスト村長は同性結婚の執行が未だ出来ない状態のままでいる。
また、ウィリアム検事は、2人のユニテリアン教会の聖職者に対する告訴も取り下げるつもりはないと語っている。
ケイ・グリーンリーフ、ドーン・サングレー両牧師は、ウェスト村長が同性結婚の執行禁止を命じられてから、代わりにニューポルツ村で一連の結婚式を執り行ってきたが、後にウィリアム地方検事により告訴された。
翻訳&記事の解説:石田 京介
(石田 京介:カナダ在住/翻訳スタッフ)
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