チームS:シェイダさん救援グループ 2001/08/19 up
シェイダさん在留権裁判 第六回口頭弁論は8月28日(火)

 すでに提訴以来1年を越えたシェイダさん在留権裁判ですが、第六回口頭弁論は8月28日(火)午前10時から、東京地方裁判所606号法廷で開催されます。
 7月3日に開催された第5回口頭弁論では、法務省側がシェイダさん側への反論の書面(準備書面2)を提出してきました。その主な論点は以下の通りです。

<法務省の主張> 難民条約は、難民の認定手続について何も定めていないのだから、どのような難民認定手続を定めようと各国の勝手であり、難民条約の解釈に当たって、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の示しているガイドラインや各国の判例などを参考にする必要はない。すでにそのような判決も出ている。

 今回の法廷では、シェイダさん側がこの書面への反論の書面を提出します。
 反論の趣旨は、すでにできあがっています。この論点は法務省の「切り札」の一つともいえるものですが、そもそも難民条約の趣旨に反しています。難民条約では、手続のあり方はどうあれ、結果として、「a)国外にあり、b)人種・民族・宗教・特定の社会的集団の構成員であること・政治的意見を理由として、c)十分に理由のある迫害の恐怖を有する者」を難民と認定して、保護を与えなければなりません。手続は違っても、結果は同じでなければならないのです。
 同じ結果を出すためには、難民条約で抽象的に表現されている「特定の社会的集団」とか「十分に理由のある迫害の恐怖」といった用語の解釈について、国連のガイドラインや各国の判例などを常に参照する必要があり、「わが国の勝手」などとうそぶくことは許されないのです。
 また、法務省は前回の書面で、シェイダさんが証拠として提出したイランにおける同性愛者の処刑ケースや、スウェーデン政府がイラン人ゲイに永住権を与えたという事例についても、なんくせをつけています。これらについても、シェイダさん側はすでに法務省を論破できる具体的事実を十二分に収集しています。

 一方、前回の口頭弁論で市村陽典裁判長は、「そろそろお互いの主張がまとまった段階に来たので、証人尋問などについても考えてほしい」と述べました。証人尋問というのは、お互いが承認を申請し、法廷で証言させるというもので、書面による主張がほぼつくされた段階で行われるものです。今回の法廷では、シェイダさん側はまだ証人尋問の申請はしませんが、現状で、亡命したイラン人同性愛者でつくる人権擁護団体「ホーマン」の活動家に、イランにおける同性愛者の弾圧の実態について証言してもらう方向で人選を進めています。

 書面のやりとりがほぼ終わり、第二段階にさしかかりつつあるシェイダさん在留権訴訟。8月28日には、ぜひとも法廷に足を運びましょう。終了後の報告集会も充実したものにしていくつもりです。

<<シェイダさん在留権裁判 第六回口頭弁論>>

●日時:2001年8月28日(火)午前10時〜(9時30分集合)
●場所:東京地方裁判所第606号法廷
(営団地下鉄霞ヶ関駅下車徒歩3分)

<<第六回口頭弁論 報告集会>>

●日時:2001年8月28日(火)午前10時45分〜12時
●場所:弁護士会館5F 502C会議室(東京地裁裏手)

 

 

夏休み最終日は牛久で
〜8月31日シェイダさん激励&収容所交渉ツアー〜

 

 シェイダさんが東京都北区の入国管理局収容場に収容されたのは昨年の5月、茨城県牛久市の「東日本入国管理センター」(牛久収容所)に移ったのが昨年の8月。シェイダさんは、これまで三回仮放免の申請をしましたが、未だに認められていません。とくに、最近では収容後1年で仮放免するケースが増えていただけに、本年4月に行った仮放免申請が6月に不許可となったのは、大きなショックでした。
 収容が長期化する中で、シェイダさんは、以前からかかえていた歯痛、耳の痛み、睾丸から足の付け根にかけての痛みなど体の不調をよく訴えるようになりました。しかし、牛久収容所の医療設備は貧弱であり、シェイダさんの体の不調に十分対応することが出来ません。外部治療も、申し訳のように数回ほど行われるだけで、すぐに収容所での内部治療に切り替えられてしまうのが現実です。しかも、入管の医師は、治療内容にちょっとでも意見をさしはさむと「文句があるなら、帰国して治療しろ」などと暴言を吐くしまつです。

 シェイダさんはこの7月、入管の収容を告発する手記を書きました。その中でシェイダさんは次のように述べています。
 「私は、いつまで収容所にいなければならないのでしょうか。明日がどうなるかも分からないのは、一番つらい精神的な拷問です。日本の入国管理局の体制をみていると、はっきりいって人間に生まれてこなかったら良かった、と思います。感情がなかったら良かった、と思います。人間に生まれてきたことを後悔するとともに、明日をも知れぬ将来のことを考えると、焦燥感にかられます」
 シェイダさんは、「同性愛者は死刑」というイランから、迫害を逃れて日本に来た、れっきとした難民です。そのシェイダさんを難民として受け入れるどころか、長期間にわたって収容所に閉じこめる日本の入管体制。私たちは、是が非でもシェイダさんの仮放免を獲得し、自由な環境での生活と適切な医療が享受できるように求めていきたいと考えています。

 シェイダさんの仮放免については、法律上、牛久収容所の所長に決定権があります。私たちは、8月31日に、牛久収容所の担当者と交渉を行い、シェイダさんの仮放免を強く求めるとともに、シェイダさんの仮放免について多くの方々が寄せてくれた嘆願書を提出する予定です。また、同日午前中には、シェイダさんと面会し、激励を行う予定です。
 当日は、8時50分にJR日暮里駅常磐線ホーム(立ち食いそば屋の前)に集合、11時前に牛久入国者収容所を訪問し、午前中にシェイダさんに面会、午後1時から収容所側との交渉を行います。
 31日は金曜日、平日で都合の着かない方も多いとは思いますが、ぜひともこの機会に牛久収容所を訪問し、シェイダさんと会ってみてはいかがでしょうか。
 ご参加いただける方は、チームSの以下の連絡先までご連絡下さい。「チームS電子オフィス」にその旨ご返事いただければ幸いです。

 また、以前から集めている、シェイダさんの仮放免を求める嘆願書についてですが、8月31日当日に牛久入国者収容所長に手渡す予定です。まだ嘆願書をお書きになっておらず、牛久収容所に「シェイダさんに自由を!」の声を届かせたいと思っている方は、ぜひとも嘆願書にご署名の上、「チームS電子オフィス」(shayda@da3.so-net.ne.jp)までご返送下さい。(→嘆願書の文面はここから


●8月31日(金)シェイダさん面会・牛久収容所交渉ツアー●

(日時)8月31日(金)
(スケジュール)
 ・8時50分  JR日暮里駅常磐線ホーム立ち食いそば屋前集合
 ・11時頃   常磐線および関東鉄道バスで牛久収容所着
 ・午前中    シェイダさん面会
 ・午後1時〜  収容所側と交渉(1時間程度)
 ・午後2時〜  牛久収容所出発 →午後5時頃 日暮里着
(連絡先)
 ・電話:070-6183-5165(田中)
 ・電子メール:shayda@da3.so-net.ne.jp
  (チームS電子オフィス)