すでに提訴以来1年を越えたシェイダさん在留権裁判ですが、第六回口頭弁論は8月28日(火)午前10時から、東京地方裁判所606号法廷で開催されます。
7月3日に開催された第5回口頭弁論では、法務省側がシェイダさん側への反論の書面(準備書面2)を提出してきました。その主な論点は以下の通りです。
<法務省の主張> 難民条約は、難民の認定手続について何も定めていないのだから、どのような難民認定手続を定めようと各国の勝手であり、難民条約の解釈に当たって、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の示しているガイドラインや各国の判例などを参考にする必要はない。すでにそのような判決も出ている。
今回の法廷では、シェイダさん側がこの書面への反論の書面を提出します。
反論の趣旨は、すでにできあがっています。この論点は法務省の「切り札」の一つともいえるものですが、そもそも難民条約の趣旨に反しています。難民条約では、手続のあり方はどうあれ、結果として、「a)国外にあり、b)人種・民族・宗教・特定の社会的集団の構成員であること・政治的意見を理由として、c)十分に理由のある迫害の恐怖を有する者」を難民と認定して、保護を与えなければなりません。手続は違っても、結果は同じでなければならないのです。
同じ結果を出すためには、難民条約で抽象的に表現されている「特定の社会的集団」とか「十分に理由のある迫害の恐怖」といった用語の解釈について、国連のガイドラインや各国の判例などを常に参照する必要があり、「わが国の勝手」などとうそぶくことは許されないのです。
また、法務省は前回の書面で、シェイダさんが証拠として提出したイランにおける同性愛者の処刑ケースや、スウェーデン政府がイラン人ゲイに永住権を与えたという事例についても、なんくせをつけています。これらについても、シェイダさん側はすでに法務省を論破できる具体的事実を十二分に収集しています。
一方、前回の口頭弁論で市村陽典裁判長は、「そろそろお互いの主張がまとまった段階に来たので、証人尋問などについても考えてほしい」と述べました。証人尋問というのは、お互いが承認を申請し、法廷で証言させるというもので、書面による主張がほぼつくされた段階で行われるものです。今回の法廷では、シェイダさん側はまだ証人尋問の申請はしませんが、現状で、亡命したイラン人同性愛者でつくる人権擁護団体「ホーマン」の活動家に、イランにおける同性愛者の弾圧の実態について証言してもらう方向で人選を進めています。
書面のやりとりがほぼ終わり、第二段階にさしかかりつつあるシェイダさん在留権訴訟。8月28日には、ぜひとも法廷に足を運びましょう。終了後の報告集会も充実したものにしていくつもりです。
<<シェイダさん在留権裁判 第六回口頭弁論>>
●日時:2001年8月28日(火)午前10時〜(9時30分集合)
●場所:東京地方裁判所第606号法廷
(営団地下鉄霞ヶ関駅下車徒歩3分)
<<第六回口頭弁論 報告集会>>
●日時:2001年8月28日(火)午前10時45分〜12時
●場所:弁護士会館5F 502C会議室(東京地裁裏手)
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