ニューヨーク州で同性カップルが結婚を求めて訴訟
ニューポルツ村長に同性結婚式停止命令

by ワタル

 ラムダ・リーガルは、2人のゲイ男性が結婚する権利を求めて、3月5日の金曜に、ニューヨーク州を相手取り訴訟を起こした。

 その2日前に、ニューヨーク州の司法長官、エリオット・スピッツァー氏が、州の婚姻法について合憲かどうかの懸念があるとの勧告的意見を発表し、これらの懸案事項は裁判によって解決するべきだとの提案をした(→この件の詳細はこちらから)。

 スピッツァー氏は、現在のニューヨーク州法を法解釈的に読めば、同性婚は違法であると説明しているが、この法令が州最高裁の合憲性の審査(憲法違反になるかならないか)を通るかどうかについては疑問視している。

 スピッツァー氏は、「ニューヨーク州法は様々な形で同性カップルの合法性を認めてきた。それにより、州が、歴史的に結婚を異性愛者のカップルだけに限ってとらえてきたことが論点になる。また、州の法的先例に従えば、合法的に他州で結婚した同性カップルは、ニューヨーク州法の趣旨において配偶者として扱われることが想定されるだろう」と語っている。

 このスピッツァー氏の公的コメントと、ニューヨーク州の小さな町、ニューポルツで、認可されていない結婚式が執り行われた経緯があり、ラムダ・リーガルはこの司法長官の発表の機会を、今回の訴訟に利用したとのこと。5年来のパートナーである、ダニエル・ヘルナンデスとネヴィン・コーエンの代理として今回の申し立てが提出され、ニューヨーク市の事務職員、ビクター・ロブレスを被告人に挙げている。

 ラムダ・リーガルは、この同性カップルの結婚許可書を拒否することは、婚姻権とプライバシーの権利を含む、同州憲法の適正手続きを受ける権利に違反していると主張している。また、結婚を異性愛者に限定することは、ジェンダーや性的指向に関する平等の保護を否定することだとして、「今回の訴訟は、ニューヨーク州における結婚差別の終わりの始まりです」と述べている。


 同じく5日金曜、ニューヨーク州判事は、同州ニューポルツ村の村長に対し、一時的に同性カップルの結婚をやめるよう命令した。

 ビンセント・ブラッドリー裁判官は、村長の就任時の誓いを無視したとして、ニューポルツの村長、ジェイソン・ウェスト氏に対し、一時的な差し止め命令を言い渡した。この決定は、3日、19件許可書なしの結婚式を執り行ったとして、ニューポルツ村のあるウルスター郡の検察官が告発した(→この件の詳細はこちらから)のを受けてのものである。告発に対して、ウェスト氏が自分は無実であると主張していた。

 ウェスト氏は先月末、ニューポルツ村庁舎の駐車場で25組の同性カップルの結婚式を主宰した(→この件の詳細はこちらから)。これが州最高裁における一大訴訟に発展した一連の問題の発端となった。

 今回の差し止め命令の期間は一ヶ月だが、ウェスト氏は一週間だけ中断すると言っている。

 ブラッドリー裁判官の判決と時を同じくして、ジョージ・パタキ州知事も、許可書なしの結婚式を執り行った公務員は、断固たる処置をとると警告を発した。

 先週始め、同州のナイアックの市長、ジョン・シールズ氏は、同性カップルの結婚式を執り行う提案をし、自らのパートナーを含む数組のカップルと共に許可書を求めて市庁舎を訪れたが、拒否されたとのこと。

 また、バッファローの市長とブライトン町の行政執行委員は、5日、他の管轄区で執り行われた結婚とシビル・ユニオンを有効な婚姻として認めると言明した。

 ニューヨーク州以外では、ウィスコンシン州とカンザス州で、同性婚やシビル・ユニオンを禁止するため、州憲法を修正する動きが出てきている。

 オレゴン州では、「結婚防衛連合」(Defense of Marriage Coalition)と呼ばれる団体が、マルトノマ郡に対して訴訟を起こした。州都ポートランド市を含む同郡では今月3日から、同性のカップルへの結婚許可書の交付を始めた。最初の二日間で800組近くの許可書が渡されたとのこと。ACLU は、訴訟において郡を護り援助することを決めた。

翻訳&記事の解説:ワタル
(ワタル:埼玉県在住/翻訳スタッフ)

 

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