11月7日、ホワイトハウスの政治顧問カール・ローブ氏は、フォックステレビの番組内のインタビューに答えて、「2期目に入ったブッシュ大統領は、『絶対に』同性婚を禁止するための連邦憲法改正を推し進める」と述べた。LGBT活動家の中には、最悪の事態を恐れる者もいる。
ローブ氏は、「我々が希望に満ちた節度ある社会を望むのならば、理想を追求しなければならない。その理想とは、結婚があるべき姿、すなわち男性と女性が結びつくことであることだ」。
彼は、今回の勝利を評価し、大統領が新たに集めた政治的「資本」を使って、同性婚を禁止するための連邦憲法改正に再挑戦する意向を持っていると語った。議会において、同性婚禁止のための連邦憲法改正は、7月に上院で、9月に下院で、否決されている。彼は、人々を巻き込んで連邦憲法で同性婚を禁止しない限り、マサチューセッツ州最高裁のように、「活動家」的な裁判官のなすがままに、結婚の定義が踏みにじられてしまう、と指摘する。
ただし、ブッシュ大統領は、各州が、同性カップルのシビルユニオンを拡大して、同性カップルの病院での面会権や相続権を保障することは可能にしたいと思っている、と付け加えた。この点に関しては、すでに、保守的な団体から、「大統領は大きな間違いを犯した」と指摘されている。
LGBTの活動家たちの反応は早かった。「人権キャンペーン」の代表シェリル・ジェイクスさんは、「ブッシュ大統領は、結婚どころか、面会権をも禁止できることになる差別的な憲法改正を推し進めるのではなく、アメリカ人をあまねく結びつけることに尽力すべきだ。大統領が、シビルユニオンを支持するといっても、彼が進めている憲法改正によって禁止されてしまうことは明らかだ。広範囲の有権者が、同性カップルに等しい権利を与えることを支持している」と声明を発表した。
民主党の同性愛者の団体「ナショナル・ストーンウォール・デモクラッツ」のスポークスマンであるジョン・マーブルは、「ブッシュ政権は、アメリカ人の階層全体をまるごとスケープゴートにし、差別を確定させることで、自らの遺産を築こうとしているように見える」と話した。
共和党の同性愛者の団体「ログ・キャビン・リパブリカンズ」のスポークスマンであるクリス・バロンは、「驚くには値しない。ブッシュ大統領は、選挙キャンペーンを通じて一貫して、この改正を目指して闘うと言い続けてきたのだから。しかし、私たちもまた、闘い続ける。そして再び勝利の日が来ると信じている」と決意を述べた。
今回のブッシュ大統領の再選は、同性結婚に強く反対している保守的なキリスト教右派(白人の福音派プロテスタントが中心)の支持を大きく伸ばしたことが、その一因であると分析されている。ローブ氏の発言も、そうした右派の要請に応える意向を示したものだ。共和党は、投票日当日に激戦州を含む計11州で、同性結婚を禁じる州憲法改正案を住民投票にかける布石も打ち、全州で改正案が賛成多数を獲得した。この住民投票が、キリスト教右派の票を掘り起こし、さらに大統領の攻勢を強めるものとなった。
民主党のケリー候補支持だった米紙ニューヨーク・タイムズも4日付社説で「投票日に長い列をつくった有権者が反戦支持者ではなく、福音派プロテスタントだったという事実から目をそらすことはできない」と指摘している。
記事のまとめ:伊藤
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