チームS:シェイダさん救援グループ
梅雨の盛りの7月3日ですが、
『シェイダさん在留権裁判』第5回口頭弁論にぜひお越し下さい
 
さあ、どうする法務省!?
シェイダさん在留権裁判 第5回口頭弁論は7月3日

●○●○● 第5回口頭弁論 ●○●○●

第5回口頭弁論
●日時 2001年7月3日(火)11時〜
●場所 東京地方裁判所 第606号法廷(営団地下鉄霞ヶ関駅下車徒歩3分)

第5回口頭弁論報告集会
●日時 2001年7月3日(火)11時30分〜13時
●場所 弁護士会館5F 502F会議室(霞ヶ関駅下車3分、東京地方裁判所裏手)

 2000年7月3日、臼井日出男法務大臣は、難民申請を行っていたイラン人ゲイ、シェイダさんを難民不認定とし、在留特別許可も与えない決定を行いました。それからちょうど一年。シェイダさんは、この東アジアの弧状列島にしっかりと存在しています。1年後のこの日、彼の裁判は、第5回口頭弁論を迎えます。

法務省に王手をかけたシェイダさん側書面
 法務省はこれまで、(1)イランでは同性愛者は迫害されておらず、シェイダさんは難民とはいえない、(2)難民認定をするためには、本人が(この場合)同性愛を理由に本国で逮捕状を出されたり、訴追、有罪判決を受けている必要があるが、シェイダさんにはそれがない、と主張してきました(裁判の論点については「ここ」をごらん下さい)。
 しかし、シェイダさん側は前回5月8日の第四回口頭弁論で、50ページ以上におよび準備書面を提出、法務省が「イランで同性愛者は迫害されていない」と主張する唯一の根拠となっていた「乙17号証」(カナダ移民・難民委員会調査部作成の資料)に完全に反論。また、難民認定には本人が本国で逮捕・訴追・有罪判決などを受けている必要がある、という法務省の主張についても、国際的な「難民条約」の解釈基準に照らしてまったく誤った、異常な主張であることを立証しました。
 法務省は、シェイダさん側の提出した分厚い準備書面に、「少し時間を下さい」とコメント。第5回口頭弁論は2ヶ月先の7月3日に設定されました。
さあ、どうでる法務省

 今回の法廷の一番の見どころは、シェイダさん側の準備書面に、法務省がどんな反論の書面を準備してくるかということです。入国管理局には十分な人員がいないといわれていますが、それでもいろいろと調べてきびしく反論してくるか、それとも「原告の主張には根拠がない」ときめつけるだけに終わるか……まだわかりません。この辺は、法廷の後の報告集会(弁護士会館を予定)でしっかり解説したいと思っています。
 次回以降の裁判の流れについてですが、書面のやりとりはあと1〜2回。シェイダさん側は、ドイツやニュージーランド、米国などでイラン人同性愛者が難民認定された判例を紹介し、シェイダさんが難民認定されて当然であることを訴えます。その次はいよいよ証人尋問です。シェイダさん側はシェイダさん本人の尋問とともに、海外から証人を招請することを検討しています。
 7月3日、午前11時。ぜひとも東京地裁606号法廷にお越し下さい!!

5月20日イベント報告
 
参加型イベントで開いた共感
〜5月20日、イベント「シェイダさんの1年、私たちの1年」やりました〜

 2000年5月にシェイダさんが入国管理局に収容されてから1年がたちました。このことを記念して、シェイダさんが過ごしてきたこの1年を思い起こし、シェイダさんの難民認定・在留権をかち取るために、「チームS」では5月20日(日)、「シェイダさんの一年、私たちの一年〜シェイダさん救援のために〜」と題するイベントを行いました。
 このイベントで、私たちは一つの挑戦をしました。いわゆる「集会」イメージ、参加者が一方的に話を聞く講演スタイルをやめ、参加者が企画に自ら参加して、シェイダさんの直面している問題を自分の内側から感じとれるようなイベントをめざしたのです。
 当日は、最近シェイダさんの裁判の傍聴に参加してくれた方々を始め、シェイダさんのことを友だちから聞いて初めて知った、という方々も参加してくれました。企画プログラムは、以下のようなものでした。

(1)ウォーミングアップ・クイズ
 〜シェイダさんとはどんな人?イランとは・日本とはどんな国?〜
 ウォーミングアップ・クイズでは、シェイダさんの歩みや、イランという国について「Yes-No」形式でクイズを行い、Yesの人はこっち、Noの人はこっち、という感じで動いてもらいました。ちょっとこなれない問題もありましたが、日本の入管制度などの問題も含めてやっているうちに、「日本」という国の外国人政策の問題点なども見えてきます。

(2)すごろくゲーム「シェイダさんの道」
 〜「難民すごろく」でシェイダさんのたどった道を疑似体験〜
 「難民すごろく」は、兵庫県の高校の先生が開発した「難民」をテーマとする教育ツールです。私たちは、この「難民すごろく」を、イランから日本へ、そして日本で逮捕・入管収容……というシェイダさんの歩みにあわせて再構成しました。「なかなかあがれない」……すごろくを囲んで楽しみながらも、シェイダさんはじめ、同じ境遇に置かれた同性愛者難民の苦悩が伝わってきます。

(3)セッション:あなたが「難民」になったら
 最後は、6〜7人のグループに分かれてセッションです。このセッションでは、各グループが、同性愛を法律で禁止している国にある同性愛者の親睦サークルに、警察の弾圧が迫っている……という設定で、どこの国に逃げるか、たどりついたらどうするか、などを話し合ってもらうというものです。最近アフリカのナミビア共和国で起こったゲイ弾圧の事例なども紹介し、臨場感を持ってセッションしました。

 初めての試みでしたが、シェイダさんが直面してきたことを、ちょっぴりではありますが追体験でき、共感もひろがったようです。

●○●「シェイダさんの一年・私たちの一年」企画スタッフから●○●

 5月20日、とっても暑かったので人出を心配しながらの準備。暑いと面倒になって人が来なそう、なんて。
 しかし始まってみると、予想人数より少なかったものの、初めての方が何人か参加してくださったのでとてもうれしかった。
 内容はみんなでシェイダの置かれている状況を知ってもらう、といったものだったのだが、僕らも難民双すごろくやらクイズやらディスカッションは初めての試みであったため、かなりドキドキだった。
 結果としては会後の交流会などで、良かったよ、という声が聞けたので、これからも何度かやっていけば、という手応えを感じられた。

以下は、そんな意見・感想を寄せてくれた私の友人である参加者より。

▼参加型だったので、何より楽しく遊びながら学べた。
▼ディスカッションや双六でシェイダさんの立場に少しは実感を伴って触れることができ、いかに大変か、と言うのが伝わり易いやり方だと思った。
▼主催者側はよく準備してくださっていたので、私自身もう少し基礎知識を事前に仕入れておいた方が、もっと具体的につっこんだ内容の話し合いができたと思うので、そのへんは残念。どうせ他人事、知らないからわからないと言うのは簡単だが、少しでも「考える」きっかけに成り得れば、それだけで意義がある会だったと思う。


 楽しくイベントをやってシェイダを臨場体験してもらうことも大切だが、原点はシェイダに自由を戻すこと、という気持ちを忘れずにいきたい。参加の皆様、ありがとうございました。