米ニューヨークで
同性婚を求めてさらに13組のカップルが訴訟

 4月7日、アメリカ・ニューヨーク州、オールバニーで、13組の同性カップルが、同性婚の権利を否定する州法は州憲法違反であるという認定を求めて、訴訟を起こした。この訴訟には、「全米市民自由連合」(ACLU)と「ニューヨーク市民自由連合」(NYCLU)、さらにポール・ワイス・リフキン・ウォートン・ギャリソン法律事務所が協力している。同性カップルに結婚する権利を保障しないのは、平等権とプライバシー権を護っておらず、州憲法を適正に実行する手続き規定にも反している、というのがその主な理由だ。これで、同性婚に関してニューヨーク州で起こされた訴訟は、3件目になる。

 13組の同性カップルの多くは、ニューポルツのジェイソン・ウェスト市長に:結婚式を挙げてもらうことを望んでいたが、判事命令で中止を強制され、願いがかなわなかった。[下の「経緯」を参照してください]

 「ニューヨーク市民自由連合」の代表ダナ・リーバーマンは「この訴訟は、同性カップルとその家族が必要としている保護を受けるために、結婚における差別を終わらせようとしているものです」と語った。

 訴訟に加わっているカップル、エイミー・トリピさんとジーン・ビターレさんは、7年間人生を共にし、エイミーさんは、初めての子どもを妊娠して5ヶ月目だ。ふたりとも自営業で、それぞれ別々の健康保険に入っている。エイミーさんの試算によれば、子どもが生まれた後の健康保険料は、結婚している異性カップルの場合より年間2000ドルも多くかかるという。

 ジーンさんは、この3月、友人たちに結婚の計画をeメールで知らせた時にこう書いた。「私は、法の下で平等になりたい。7年間いっしょに過ごして、私たちはお互いに、心の中ではもう結婚していると思っている」。

 13組の中には、長い間同性婚を推進してきた州議員ダニー・オドネルさんと彼のパートナージョン・バンタさんもいる。ダニーさんは、元トークショーのホストで、有名なタレントであるロジー・オドネルさんの兄弟である。[ロジー・オドネルさんの結婚についてはこちらから


 この訴訟は、州の保健省(ニューヨーク市を除いて全米で結婚をとりしきっている)に対して起こされている。結婚許可書は、州の保健省の指示で発行されるからだ(ニューヨーク市は市職員)。したがって、3月5日に「ラムダ・リーガル」が、結婚する権利を求める2人のゲイ男性のために、起こした訴訟の相手は、ニューヨーク市の職員となっている。今回の「全米市民自由連合」による訴訟の原告のほとんどは、ニューヨーク市外に住んでいるので、保健省を被告とした。しかし、どちらの訴訟も、その主張が「同性カップルの結婚を禁止している州法は、州憲法に違反している」という点で一致している。

 「全米市民自由連合」の公教育ディレクター、ポール・ケイツさんは、「私たちは、お互いにたたえあい、協力してやっていきたい。最終的に、どちらの訴訟も、同じ憲法問題に取り組むことになるのですから」と述べている。

 ニューヨークでは、2月27日に、ニューポルツ村のジエイソン・ウェスト村長が、独自に村として同性カップルのために結婚式を挙げ始めてから、同性婚問題に火がついた。ジェイソン村長の行動は禁止され、ユニテリアン派の牧師によって、引き継がれたが、ともに州法に違反したとして、告訴されている。

▼これまでの経緯
2月27日 ニューポルツ村の26歳の村長ジェイソン・ウェスト、同性カップルの結婚式を行う(→詳細はこちらこちらから)
3月3日 ニューポルツ村のあるウルスター郡の検察官ドナルド・A・ウィリアムズが、結婚許可証なしに結婚を執り行った行為が家族関係法違反にあたるとして、ウェスト村長を告発。(→詳細はこちらから
3月5日 「ラムダ・リーガル」が、結婚する権利を求める2人のゲイ男性のために、ニューヨーク市を相手取り訴訟を起こす。同日、ニューヨーク州判事ビンセント・ブラッドリーは、ニューポルツ村長ジェイソン・ウェストに対し、同性カップルの結婚をやめるよう命令。(→詳細はこちらから
3月12日 ニューヨーク州ナイアック市の市長ジョン・シールズと彼のパートナー、及びその他の9組のカップルが、結婚許可書申請を却下されたことに対して、ニューヨーク州とオレンジタウンの担当事務官を告訴。(→詳細はこちらから


訳&記事の解説:伊藤

 

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