チームS:シェイダさん救援グループ
イベント「シェイダさんの1年、私たちの1年」(5月20日)
〜ワークショップ形式でシェイダさんについて理解を深めよう!〜

 2000年4月22日、仕事からの帰宅途中に通った交番の前で逮捕されたシェイダさん。警察は彼をすぐに不起訴処分とし、5月8日、シェイダさんの身柄は東京都北区にある東京入国管理局の収容場に送られました。(シェイダさんについての情報は<ここ>をごらん下さい)
 それから1年。さまざまなできごとがあり、今、彼は自分の在留権を求めて、法廷の場で国(法務省)とたたかっています。(裁判の争点については<ここ>をごらん下さい)
 私たち「チームS」では、シェイダさん収容1年を振り返り、イラン人ゲイ難民であるシェイダさんと、その直面する問題について理解を深めるために、5月20日(日)午後2時〜5時に「中野ゼロ」(JR中野駅南口下車徒歩10分)で、イベント「シェイダさんの1年、私たちの1年〜イラン人ゲイ難民・シェイダさん救援の集い〜」を開催します。
 イラン人、難民、ゲイ……どれも一筋縄では行かない問題です。この「集い」では、これまでの「チームS」の集会でありがちだった「スピーチをする/スピーチを聞く」というスタイルはやめ、クイズやワークショップなどを通じて、楽しみながらシェイダさんの問題や自分とのつながりに自ら「気づく」ということを目指したいと思います。

 皆様のご参加、心からお待ちしております。

○●○イベント「シェイダさんの1年 私たちの1年」●○●
〜シェイダさん救援の集い〜

<日時>5月20日(日)午後2時〜5時
<場所>中野ゼロ西館 学習室B(JR中野駅南口下車、線路沿い新宿方向に徒歩10分/東京都中野区中野2丁目)
<こんなこと、やります!>
○ウォーミングアップ・クイズ
 〜シェイダさんとはどんな人? イランとは・日本とはどんな国?〜
○シェイダさんの問題、ほんとに「ひとごと」?
 〜あなたが「難民」になったら:シミュレーション〜
○体験・日本の難民認定制度
 〜すごろくゲームで「難民認定」を疑似体験〜
○みんなでディスカッション

シェイダさん側、法務省に大反論の書面提出
〜第四回口頭弁論行われる。次回弁論は7月3日〜
 5月8日午前11時、「シェイダさん在留権裁判」第四回口頭弁論が開かれました。当日は雨模様のおちつかない天気でしたが、それでも15名の人が傍聴にかけつけてくれました。
 前回3月13日の裁判では、法務省側が「イランで同性愛者が処刑されているという主張(くわしい内容は<ここ>から)は根拠がない、なぜなら、『同性愛的性行為』は複数でやるものなのに、一人しか処刑されていないケースばかりだからだ」「シェイダさんは難民ではない、なぜならば、日本で難民認定されるためには、逮捕、訴追、有罪判決などの個別的具体的事情がなければならないのに、シェイダさんにはその事情がないからだ」などといった乱暴な主張を展開した「準備書面(1)」を提出していました(法務省の主張とシェイダさんの反論内容については<ここ>をごらん下さい)。
 今回の法廷では、シェイダさん側が、法務省のこの準備書面に反論する「準備書面(2)」を提出しました。この準備書面は、主任弁護士の大橋先生と「チームS」のメンバーが協力してつくりあげた、非常にボリュームのあるものです。シェイダさんの事件については、書面提出と証拠の確認が粛々と進み、平穏に終わりました。法廷のあとは、弁護士会館で報告集会を行い、今回提出した書面の内容や、今後のスケジュールなどについて傍聴してくれた皆さんと共有しました。
 今回の法廷は、他に2件の難民関連の裁判とドッキングしたものでしたが、そのうちの一つの事件では、次回の法廷で原告(難民申請者)本人の尋問が予定されていました。本人が牛久の入国者収容所に収容されているため、本人尋問は牛久で行わざるを得ず、裁判所も「通訳の手配、書記官の手配など、いろいろ考えれば、裁判所でやるのが一番いいのだが……」と法務省側に苦情を呈していました。
 実際、負ければ強制送還、本人の生命・身体がかかっている裁判であるにもかかわらず、本人が収容されているから出られない、というのは、大きな問題です。ちなみに法務省側は、本人を収容所から裁判所につれてくることを「連行」といっていましたが、この言葉、戦前戦中に行われた朝鮮人・中国人の「強制連行」を思わせる、とても象徴的なことばだと思いませんか?こんな言葉を使うところにも、入管局の「外国人は煮て食おうと焼いて食おうと自由」(1960年、池上努参事官)という意識が見えかくれしているように思いました。
 次回の法廷は、「大部の書面を読みこなすのが大変」という法務省側の意向を反映して、ほぼ2ヶ月後の7月3日(火)、午前11時からとなりました。
●○●シェイダさん在留権裁判 第5回口頭弁論●○●
<日時>7月3日(火)午前11時〜
<場所>東京地方裁判所 第606号法廷(営団地下鉄霞ヶ関駅下車、徒歩3分/東京都千代田区霞ヶ関1丁目)
<内容>法務省側準備書面提出など
 ※終了後、報告集会を予定しています(予定:弁護士会館5F会議室)
収容1周年に際してのシェイダさんのメッセージ
声 〜壁の向こうから〜

 裁判長と、親愛なる友人たちに心から挨拶申し上げます。
 私は日本で、「あなたは犯罪者であり、外国人であり、不法に滞在している。あなたは、帰らねばならない。あなたが帰国したとき、どんな処罰があなたを待ち受けようと、私たちには関係ない。第一、あなたは何のために日本に来たのか」という扱いを受け続けています。
 どうして、私はこんな恥辱を受けねばならないのでしょうか。こうした扱いは、私の尊厳だけでなく、すべての人類の尊厳にふさわしくないものです。私は母国であるイランから逃亡していますが、その母国は今、私にとって、とても広く、天井が空に続いている刑務所です。
 傍聴者の皆さん。私は声として、あなたたちの前にあらわれます。私は、何十万の人々の声、女性、男性、若者、高齢者、児童、生徒、大学生の声です。彼らはイラン・イスラム共和国の牢獄で体制に向かってノーと言い、無情にも絞首台に唇を触れて死を迎えました。
 私は皆さんの前に、六千万人のイラン人の声としてあらわれます。彼らはイランという広大な牢獄で捕虜となっています。彼等はそこで、笑うこと、踊ること、音楽を奏でること、成功すること、自由に考え、書くことを禁じられています。
 一方、イラン・イスラム共和国では、哀悼すること、悲しむこと、自分の頭や胸を叩くこと(注1)、泣くこと、短剣で自分を刺すこと(注2)、イスラム共和国の政権に反抗する人に拷問を加え、処刑することがよいこととされ、これらの行為をしたものは、神の恩寵を受けて天国に入ることができると教えられています。イラン・イスラム共和国は、イスラムの教えに従って、この政権を作り上げたのです。
 死刑、手の指や体の他の部分の切断、石打ち刑、残虐な拷問などが、イスラム法の下に合法的に行われています。私は、暗く恐ろしい体制から逃亡し、今を生きて呼吸していることに喜びを感じています。
 皆さん、革命についてどのように想像し、どのように考えていますか?(注3)
 私は、革命とは抑圧や暴虐をつくす体制に抗して闘う行動だと考えます。
 この意味において、私は革命と抵抗に、道理を見いだします。

 ありがとうございました。

シェイダ 
2001.3.30. 

※注1・注2:ウマイヤ朝の権力者によって虐殺されたイマーム(=イスラム共同体の指導者)、フサインをしのぶ「アーシューラーの祭り」について述べていると思われる。
※注3:「革命」ということばに抵抗を感じる方もいるかも知れません。しかし、ちょっとだけ立ち止まって、彼のたたされている場所を想像してみて下さい。歴史の大きな流れの中で、彼の祖国・イランは「イスラム法学者による統治」という体制を選択しました。その体制は、彼が同性愛者として存在することを、絶対に許そうとしません。(くわしくは、<ここ>をごらん下さい)。現体制が倒れ、刑法のソドミー条項が撤廃されない限り、彼は祖国に戻ることが出来ないのです。