私たち同性愛者は、とても生きにくい状況に置かれているわけですが、逆に、既成の価値観に縛られずに生きていける可能性も大きいということになります。自分の意志で、新しいライフ・スタイルを選ぶことができると言い換えてもいいでしょう。
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例えば、今まで同性どうしのカップルもたくさんいたはずなのですが、同性愛者の団体やサークルなどができて多様な活動が始まったのはせいぜいここ十年ぐらいのことですから、カップルどうしの交流や情報交換はまだほとんど行われていません。つまり、私たちには、お手本(ロールモデル)がありませんから、新しい生き方を自分達で作っていかなければならないのです。これは、大変しんどい作業になります。
男女=異性愛者のカップルであれば、いろいろなものに拘束されて、惰性で共同生活を続けることもできます。例えば、子どもがいるから別れないでいようとか、戸籍にバツイチと書かれると困るからとか、いっぱい人を呼んで披露宴を挙げちゃったのに別れるわけにいかない(世間体)とかいった形で、二人の関係性を問わずに、ダラダラとカップルであり続けるというのは非常によくあることです。 ところが、私たちには、そういった縛りがいっさいありません。その分、法律的・制度的な保障がない、という不利益が生じることに対しては、改善の要求をしていかなければいけないのですが、縛られないということが、新しい可能性を生むことにもなるのです。
つまり、子ども・戸籍・世間体といったものに拘束されないだけに、二人の関係性を続けるためにはかなりの努力が必要になってくるわけですが、このことがかえって新しい地平を開いてくれます。
新しいライフスタイルを模索しているのは、同性カップルだけではありません。私たちの『すこたんソーシャルサービス』や『動くゲイとレズビアンの会』を始めとして、少しづつではありますが、地道な活動を行う、同性愛者の団体ができています。そういう団体では、結構若い人達が中心になって、海外の運動や研究から学んだり、電話カウンセリングをやったり、セイファーセックス・キャンペーンをやったり、同性愛者の親のケアをしたり、同性愛者が作った映画を上映したりと、多様な活動が展開されています。
だから、同性愛も「異世界」の自分に無関係のこととしてではなく、男女の関係性も含んだ新しいライフスタイルの問題として、皆さんの日常生活に引きつけて考えていただければ、身近な問題になってくるのではないかと思います。
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